年金制度:外国へ行く人、外国から来た人

年金は、外国に行けばその制度に従う

公的年金に関わる仕事をし出したので、海外から来られた外国人に日本の年金制度を説明して加入の手続きをしてもらっています。また海外に住んでいて年に1~2度里帰りする友人に相談されたり、まだまだ年金制度に実感のない年代の、元同僚からなぜそんな煩雑でムダっぽい仕事をしているのかと聞かれたりします。
日本の年金制度と海外の制度の違い、今やっている仕事等、なかなか短い文章ではうまく説明ができません。
少し前は『消えた年金記録や、バブル崩壊で失敗した厚生年金のリゾート施設等』最近は『老後年金では2000万不足、年金は崩壊するのでは』等、いろいろ言われる日本の年金制度です。
将来貰えないかもしれないと、よく分からずディスる方も多いです。
日本の年金制度全体像は本一冊くらい長くなりますので、ここでは外国人が来た場合と日本人が海外に行く場合を中心にご説明します。

日本の年金は外国籍を含めすべての日本に住む20~60歳に加入義務

当然のことながら習慣や税制をはじめいろんな制度は国によって違い、外国に行ってそこに住めば国籍を変えなくても、その国の制度に合わせなければなりません。日本の年金は、国民皆年金加入の制度をとっており、20歳以上で日本に住む人は外国人でも加入しないといけません。会社などに入る人は厚生年金に入り、留学生も日本人と同じで国民年金に加入し、保険料を払うか、学生納付猶予を申請します。バイトなどの所得が多いと猶予が認められないなどは日本の学生と同じです。
海外の多くの国は皆年金の加入義務がないので、この説明を英語などで理解いただくのは大変です。
ただそれぞれの各国制度に一長一短はあります。
日本の国民年金は、老齢年金だけでなく、遺族年金、傷害年金の計3つの給付があります。給付には国籍の制限などはありません。この少しお節介な日本の年金制度のようなものがない、外国に住むとなると、それ以上の民間の保険に加入しないとカバーできないのです。たとえば国民年金に入っている夫婦だと、外国籍の奥さんとの間に18歳未満の子がいたら働き手の御主人がなくなれば遺族年金が支払われます。
あまり知られていないですが日本の国民年金40年間の800万ほどの支払で同程度の終身年金を得ようとすると期間は短くとも支払金額は倍近くになります。元を取るためには相当な長生きが必要です。
しかも傷害保険は別の医療特約が必要!というか医療保険は入院期間などに支払われるものが多く、治療が終わって傷害が残った人に所得の保障を終身払う保険はあまりなく、こちらもかなり高額です。
こう考えると日本の年金、日本に来た外国の方も手続きしておくに越したことはありません。受給までに帰国される時、期間にもよりますが半額程度の脱退一時金が戻ります。 これは税金ではなく保険料という面の特徴です。

日本人が外国に住む場合、通算できる国もある、帰国した時のため任意加入も

イギリスに住んでいる私の友人の場合、日本の年金を若い頃、払っていた期間が短いまま出国してしまいました。もう60歳になっているためあと5年任意加入しても、残念ながら老齢年金の受給資格の10年を満たしません。(それでも日本は海外に合わせ、2017年から受給資格期間は25年から10年に短縮したのですが)
イギリスとは年金を通算する協定が結ばれていないのと、お子さんの関係、向こうの年金を貰う資格手続きなどの理由で、日本に帰国するよりも老後はイギリスという選択肢になったようです。
任意加入とは、国民年金の加入義務を免れる『60歳を過ぎた場合』『日本を離れ外国に住む場合』に、年金受給資格を得るためや、受給額を満額に近づける目的で年金保険料をあえて支払うことです。
日本の保険期間との通算の社会保険協定を結んでいるのは16か国(ドイツ、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、ルクセンブルグ、インド、フィリピン)です。イギリスと韓国とは5年以内の短期就労で、日本の年金加入で、その国の年金への加入を免除される協定のみを結んでいます。(二重払い防止のため)
年金は税金と違い、保険であり、支払った人のメリットも大きくなる可能性のものです。また未納者が増えると保険制度としては給付やサービスを低下させて維持させないといけません。このため今、制度の理解、啓蒙とともにアウトソーシング等人海戦術を使っての徴収督促などやり、『片っ方で払ってない人がいる』状態を無くすよう年金機構や行政も尽力しています。

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