読書【2050年 MEGA CHANGE】     ①予測された未来、検証すべき歴史

英国『エコノミスト』誌の精緻で衝撃的な予測。もうすでに執筆されて8年くらい経過します。すでに現実的に見えてきていること、改めて思い知らされることが多いです。
これから何回かに分けて、この本の所感とそこから予測される真実とそれに対する提言。とくに日本に関しての気づきを述べていきたいと思います。
統計的なことに基づいていて、その結果には上振れも下振れも当然あるでしょう。しかし歴史も検証し統計を見れば、たとえばシェアが大きく縮小するというときに微差はあっても、拡大するとか維持するということはあり得ないのです。
世界の人口増加、その推移と国別のランキングは驚異的なスピードで変化しています。その中でこれからの日本の相対的地位はどんどん下がります。
今リタイアした多くの日本のオジサン達は、高度経済成長は自分達がモーレツに働いたからだという思いが強いです。そう語るノスタルジーも多く、それ以降の世代も日本人の民族としての優秀性と努力が高度経済成長に結びついたと信じています。
しかしGDPはあっという間に中国に抜かれ、大きな差をつけられました。インドや他のアジア諸国、アフリカ(サハラ以北)にも抜かれる日がきます。【それは高度経済成長はただ人口が急激に伸びる時期だったに過ぎない】のです。
中国が伸びたように、インドも13億の人口となり、この人たちが衛生状態が良くなり、寿命が延び、消費を拡大しただけで、インフラも流通も機械もあらゆる産業が入れ食い状態で潤いました。
その段階でモーレツに働けば働くだけ稼げる、人手もどんどん増やせる景気がやってきています。
日本人にしかできないような、精密な技術や、忍耐のいる伝統工芸等、日本のいいものは沢山あります。同じ自動車を作っても、鐡道を走らせても日本人はキチンとやるかもしれません。けれどそれは、各民族の適性であり、人それぞれです。いろいろな文化や伝統は世界中にあります。
日本の高度経済成長の多くの部分はただ人口が増えたということです。
そしてモーレツに休まずに働いた成功体験が、時間としての労働効率を悪くさせています。これは今や日本の弱点です。
日本はこれから世界でもっとも平均年齢の高い、都市部に人口の集中した国になります。豊かさの指数では世界の下位に落ちます。
これからの日本はそのベクトルで、どれだけ上に向けるか、そこの努力が必要になってきます。
               (つづく)

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