アメリカの民主主義を貶める「自由の問題」

アメリカ大統領選挙は大接戦で訴訟までいくと泥沼の様相となっています。
戦後日本はアメリカによって支配、指導され多くの日本人が戦争の苦しみから逃れられ、アメリカの自由や民主主義が素晴らしいものと教えられました。
しかし、アメリカの「自由」や「民主主義」はいまや世界的に見ても、先進的でもなく誰も優れているとは見ていないでしょう。
多くの世界的企業を抱え、政治的軍事的にはまだまだ世界をリードしているはずの、アメリカは病んでいるのでしょうか。この「自由」の問題は私が生まれる前60年以上昔に書かれた日本の政治学者の著書でもすでに指摘されていました。

岡本清一という、1905年京都生まれ同志社大学卒で同大学教授等を歴任した政治学者で「自由の問題」は名著とされています。
資本主義、社会主義の過去からの問題、自由や民主主義の問題を極めてまとまりよく俯瞰されています。第1章~第5章が一般的な論説で、6章ではアメリカの大統領選挙の体制の問題を二大政党制の課題を具体的に上げています。
たとえば僅差で、その州の選挙人を総取りしていまい、大差で勝利した州があって全体の得票数で上回ってもその候補者は勝てず多数の民意が反映されないという根本的なレギュレーションの問題点を鋭く指摘しています。
かといって社会主義が優れているとも言えず、ソ連や中国の体制も指摘しています。皮肉にも必ずしも「自由」が謳歌されない国が、世界で勢いをもって巨大化しているということになります。
アメリカの自由、日本の自由というのはそれぞれ功罪半ばなのでしょうか。
いずれにせよ扇動されやすい愚民?というと失礼なのですが自由に制限をかけた方がいいところもあります。研究開発や表現、企業の発展などは自由がいいケースが多いのですが厳密な境界や、政治的判断となると難しいです。
こうやって考えると、日本の間接選挙、小選挙区比例代表並立制の選挙制度はベストとはいえないまでもかなり秀逸なのがわかります。
日本に二大政党による政権交代、小選挙区制度を導入したのは、細川内閣の頃です。賛否あるのですが、二度の政権交代はその政権自体は短命で不評でも政権交代があることを官僚に戒めたことは大きな成果だと考えられます。

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