社会人になって以来の友人が外務省に勤め、様々な国に勤務して今ある国の領事にまで上り詰めています。役所の中ですから、いろんな内外のやりとりがあって激務のようです。
その彼のホンネ話です。
今の日本は、同盟国アメリカと最大の貿易相手国中国の両方とうまくやっていかないと国益を守り、国を存続していくことができない状況です。
ナショナリズム、愛国主義は必要なものであり、国歌が流れ国旗がなびくのと同じ大前提です。しかし、感情が高ぶった排他的で敵対的なナショナリズムでは、一部の国内世論では支持されても外交交渉の場では喧嘩になるだけです。
毅然と自国の権利を主張するとともに、相手国の立場も考えないと交渉事は進まないでしょう。相手国も当然自国のナショナリズムを持ち、国民世論を代表してきているわけです。まして世論を左右する報道等の情報はやはり自国民びいきになります。
日本人の潜在的な嫌悪や蔑視の中に、メイドインチャイナを嫌い、チャイナフリーを未だに求める人がいます。しかし家電製品や工業製品、産業資材、医療関連、食糧等の多くは中国製です。かつては日本企業が作っていたもので、その品質が日本企業の時代や、ましてアメリカに大きく劣るということもありません。
多くのビジネスマンが政治とは別に中国に滞在して活躍しています。
友人の省内でのキャリア形成も、当然普通いろいろ専門はあっても、外交官が自分の好きな国だけを選べるわけではありません。世界中の大使館、領事館に赴任しその国を学び、親しみ、コネクションを持ち、日本人がうまく滞在できること、日本政府と良い関係が進み課題があれば解決できるような方向を見出さねばなりません。
そして総理大臣や外務大臣は短期間で公選された「素人」です。経験も知識、語学もたいしたものがありません。指示もその時の世論等でコロコロ変わるもので、しっかりした軸はほぼないそうです。
選挙に直結する内政に比べ、外交はアドバルーンだけで長く地道な努力が政治家には向かないのです。たとえば今ロシアや、中国に交渉のパイプがる政治家はごく限られ親中派、親露派というと何かスパイのように嫌われますが、これも必要な人材なのだそうです。
政治家にも外交官にも親中、親米(親台湾)がいてそれぞれが相手国の信頼を得て、情報と具体的な交渉の妥協点を探り、最後は非友好の派が押し切るのではなく、友好を模索した政治家や外交官のまとめた妥協案を世論に多少嫌われても推進することが外交の要となるわけです。
中国共産党の、人権や海洋進出は問題もあろうかと思いますが、だからといって親中派が政治家にいらないわけにはならないのは、少し想像力を働かすと分かると思います。
このところ子供のような感情的な世論にだけ流され、嫌われてもしっかりと国民に説明しないで、あたかも相手国が悪いような感じにして国家同士の約束を守らないトップが増えています。トランプもその傾向があり、韓国がそうです。日本も褒められたものではありません。(そのあたりは次回)
感情に流される外交は国家を危うくします。