値上げ インフレ プライスリーダーの難しさ

 

 花王の製品は洗剤の「アタック」「バスマジックリン」漂白剤「ハイター」入浴剤「バブ」や洗顔や手洗い、ボディソープの「ビオレ」紙おむつの「メリーズ」元祖化粧石けんの「花王石けんホワイト」など、消費者にとって著名です。またほぼトップシェアを誇るプライスリーダーであり国が消費物価指数を決める重要な品目の多くを1企業が担っているのです。
 その花王が原材料に高騰を主な理由に2月初め値上げを宣言しました。これは物価と生活に与える影響は大きいことです。
 東京や神奈川に約130店を展開する食品スーパー「オーケー」は「花王(株)、花王グループカスタマーマーケティング(株)より大きな仕入れ価格値上げ」の申し入れがありこれに伴い、1月31日(月)より「販売中止(145品目)の対応をとらせていただきます」とその少し前にニュースで報じられていました。
 花王には以前勤めていましたので、ここに至るまでの経緯の難しさ、方針決定から流通業への交渉まで極めて難渋なハードワークだったと思います。表立ってはオーケーだけということは他の大手スーパーやドラッグ、コンビニなどへの話は抑えているのでしょう。もちろんそれらの企業の売り場も値上げしたままのメーカーの商品を今までと同じ面をとって並べて売ってもらえるとは限りません。
 その他の条件踏まえて、なかなか予断を許さない情勢でしょう。
 食品に比べて、値上げがしにくいという業界筋の言葉もあります。
 花王の場合は洗剤の主原料にバーム油、バーム格油を使っています。その調達に森林破壊ゼロ、調達先追及可能100%としてSDGs(持続可能な開発目標)推進を図っていました。
 配送コストやその他商品の原材料の原油高も含め、かつてない原材料費の高騰で、これ以上卸価格を維持するには製品の質を低下させる以外にない状況に至ったとは思われます。
 もちろんライバル企業がどうでるかは分かりません。
 どの企業も製品に品質を保証しながら利益率を維持していくのはステイクホルダー全て、社員の給料から原材料調達の国、工場周辺、株主、消費者に至るまでに対して使命であり義務です。
 かつて物価の優等生といわれた鶏卵、たまごは今でも安いです。しかし栄養滋養に優れた完全栄養食品だった戦後すぐに比べて、工業生産禍され劣悪な環境下で価格維持が行われ続け、見掛けは変らなくとも栄養はスカスカの似て違うものにすり替わっています。
 一購買者や、一つの流通の経営者は、花王は高いと思われるのも仕方ない面はあります。しかし社会を維持し、地球環境を考えながら、インフレは必然でもあり、物価は上がっていくものだと受け入れざるを得ないとは思います。

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