戦争と平和 8 旗幟鮮明か中立か

 ウクライナにしろロシアにしろ世界中の一般市民が、どんな大義名分が指導者にあってもその巻き添えを食い難渋を強いられ、家や命もだも奪われるのは痛切の極みです。
 紛争国の指導者、軍関係者は話し合いに応じ妥協を早期に探るべきです。紛争国以外の国が軍事であれ経済で支援をすれば対立の構図は深まります。
 NATOや米軍がイッキのロシアを攻撃すれば良いとか、指導者を暗殺、投降させるかクーデターを起こせばいいのではないかという向きもありますが、それこそ核戦争や大規模な世界大戦に繋がります。経済制裁についても前にも書きましたがエネルギーや資源、穀物の豊富なロシアは輸出できないだけで自国消費を輸入に頼っていないので困るのは他の国です。
 一部の富裕層か、関係の庶民で困る人もいても、指導者を戦争からギブアップさせる速攻性はありません。
 逆に旗幟鮮明にして困るのは、国境を接している日本です。北方領土の元島民、漁業関係者、ロシアとの貿易や文化の交流の仕事をされている方。
 よく、ロシア人やウクライナ人の国民が悪いわけではない、指導者が悪いのでやむなく彼らに伝わるように制裁をするのだということを言われる方がいます。
 しかし結局こういう圧力で、被害や差別を受けるのは国民です。
 アメリカがイスラム系組織のテロ等と戦った時も、イスラム教やその国の出身者は苦境に立たされました。戦争が起これば当事の国の人間同士が戦っていることになります。元々移民したり、国際結婚していた相手国と戦争になれば、スパイでなくても疑われ厳しい状況になるのは自明です。
 戦争当事国でなくても、そこでどちらかを非難し制裁を加え、反対国を支援すれば、戦争に参加するのに準ずる非友好な関係となります。当然、戦争にもつながりかねない関係の悪化を覚悟しないといけません。
 今回のロシアとウクライナの紛争で言えば、国連は結局制裁決議を行えませんでした。日本の外交の中心と言われた国連決議に基づくものではなく、G7加盟国、アメリカとの同盟関係による制裁です。国際世論の全てではなく中国やインドなどアジアやアフリカ、南米など多くの国は賛同していません。G20や世界中合わせると国や人口の数でロシア制裁ウクライナ支援には躊躇する側が多くなります。アジアで積極的に旗幟鮮明にしてウクライナを支持支援し、ロシアに制裁を加えているのは日本だけです。
 今後、このままではロシアや中国、インドや中東などのグループと、アメリカやEUの対立は深まり危険な事態へと進みかねません。
 日本はアジア唯一のG7加盟国で、アメリカとは同盟を結びながらも中国は隣国で経済の結びつきや依存度はアメリカ以上になっています。アメリカ側の尖兵になりたがるのではなく、アメリカと中国の話し合いの仲介、交渉役で存在感をしめすべきです。
 アメリカと中国の対立が深まったときには、日本は経済でも安全保障でも、想像するのも恐ろしい存亡の危機を迎えます。
 中国やロシアの姿勢、政治体制がいいとか悪いとかではなく、話し合いを軸にさまざまな情報と経済、文化の交流で悪いものを淘汰していくことが肝要でしょう。

チャイコフスキー

 終わり

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