63歳になった私、同年代の女性はボチボチ厚生年金を貰い始めています。なんとなく支給開始に男女差があるのは何故かと思います。
もともと年金支給は男女とも55歳からでした。それを男60歳に変えましたが、当時は女性の方が早く辞めるという事が普通だったから女性は据え置きの55歳のままにしていたそうです。 それを、男を65歳に、女も12年かけて60歳に引き上げることになったのです。その時点で男については現在の方法で65歳未満の特別支給の仕組みを決めました。 その後、女性も65歳に引き上げることに決まりましたが、その時には女性は60歳へ引き上げる過程にあったため、5年遅れで男の後を追う事になったのです。
つまり、男女の雇用に差があった時の年金制度を、雇用の差が無くなってきたので今は男女差を解消する過程にあるということ。この方法がいいか悪いかは別として、20年近く前に国会で決めたことです。
次に貰っている年金額。
令和2年の統計 男女全体:14万4268円 男性:16万4770円・女性:10万3159円
これらは現在年金を受給している人の平均なので、共働きの多い現役世代が受給する頃には、もう少し差が埋まるかもしれません。
ところが現状では男性の平均給与532万円に対して、女性は293万円なのでこれが年金の報酬比例に反映していきます。女性は出産や育児でキャリアダウンすることも多く、男女差が埋まるのはまだまだ先になりそうです。
加給年金制度というものがあります。加給年金はしばしば「会社の配偶者手当の年金版」と説明されます。夫婦の年齢差があって、男性が受給開始年齢になったとき、まだ女性が公的年金を受け取っていない場合、夫だけの年金では老後の生活が苦しくなるだろうと一定額を補塡するような仕組みです。
共働きが当たり前になった時代、独身の人も増えた時代に会社の配偶者手当はむしろ不公平なものになっています。民間企業では時代の役割を終えつつある仕組みですが、年金制度ではまだ健在なのです。
いま年金生活を迎える世代の加給年金は年39万500円です。満額の老齢基礎年金の半分くらいに相当する大きな金額です。しかし、この仕組みをよく考えてみると「夫が年上の夫婦」という条件に違和感を覚えます。同い年の夫婦なら誕生月の差程度ですし、女性が年上の夫婦の場合はもらい損ねます。考えてみるとおかしな話です。
「逆差別」条件もあります。遺族年金制度にある「男性差別」です。
主 たる稼ぎ手が亡くなったとき、家族の経済を支えていくための遺族年金制度があります。子および配偶者が対象になるのですが、かつては「働くことが難しい女性を支える制度」とみなされていました。
そのため遺族年金を受け取れるのは「妻」と法律に書かれていたため、女性が働き男性が主夫をしている場合などは対象外となっていました。これは法改正により解消されることとなりました(遺族基礎年金は夫も対象になり、遺族厚生年金は子も対象となる)。
しかし、現行制度でも男女差別があります。妻は夫が死亡時に30歳以上であれば終身年金の遺族厚生年金が支給されます(子どものいない30歳未満の場合は5年有期)。しかし、夫は55歳以上でしかもらえません。
制度設計当初は夫が亡くなったとき女性が働くのは大変で、男性は妻が亡くなってもどうせ正社員で働けるだろうし再婚するに違いない、という価値観があったのでしょうが、時代にはもう合わず、そろそろ見直しが必要ではないかと思います。なかなか法律が急には変えられないのがもどかしいところです。