久々に国会を聴く3

 日米首脳会談での岸田首相の防衛費を相当に増額するという確約を受けてその質疑も今国会でありました。

 ウクライナ情勢を受けて、与野党の見解、立ち位置も世論を気にしつつあたふたした感じです。ロシアの侵攻という突然の脅威はインパクトがあり過ぎたのでしょうか。しかし平時からまるで想定していないというのは何ともです。まあここまで世論全体が右傾化するとは予想外だった面はあるでしょう。
 

 憲法改正までいくとテーマが大きすぎますが、幸か不幸かそこまでは論争もされていません。防衛費の財源とか、中国や北朝鮮有事への対応まででです。何だか少しゆるいという印象さえあります。もともと、野党のスタンスも今やまちまちで、共産党と維新の会は完全に離れていますし、立憲と国民民主も大きく政策が離れてしまったからです。その上、護憲で戦争反対といっても、いざ侵略者が来た場合非力でどうするというのがクローズアップされ、防衛費増額したい側には圧倒的な追い風です。もはやそのことを正面から否定しきれる政党はありません。福祉など減額して防衛費に回すのはやめてねというぐらいの印象です。


 基本的には赤字国債を発行して防衛費増額の財源に充て、財政悪化、負担を次世代先送りするというスタンスのようです。自民党元首相などの発言通り、防衛費は必然の国の根幹とするようです。一つ一つの古い装備や設備、弾薬などのストックを考えると足りないような印象はありますが、金額論でもGDP比でもなくアメリカの言いなりに兵器を買わされる構造にこそ大きな問題があるのですが、国会の審議では金額でしかまずは争えません。


 かといって、敵基地攻撃や核共有など、憲法改正につながる論争がされたかというと、自民党は政調会長や総理経験者が呟いているのに、岸田首相は憲法遵守を明言していますから、何一つその先の論争はなしです。
 車椅子で、起立もできない防衛大臣を休養交代もできないことももどかしく見られますが、岸田首相の我慢強さとバランス力とも言えます。
 岸田さん、私は予想以上によくやっていると思える面はあります。とくにバランス感覚を持ちながら、世論の動向と自分の方針にある程度力点をおく感覚は凄いです。もちろん、アメリカに対しては従順なのですが、利用されながらもポイントをうまく稼いでいる感じです。
 もはや野党のあり方は、維新や国民民主のように時に同調、連立を目指すくらいが効果的かもしれません。政府与党の案にもこれはどうかというのは確かにあるのですが、共産党のような反対スタンスがもう何だか確かに時代遅れというか、どうせ反対ばかりだからかえって是非がわありにくくなり存在価値がなくなります。
 野党なんか要らないと唱える人がいますが、民主主義国家で少数意見が尊重されることは必要なものです。しかし、それを差し引いても今の野党は何だか元気がないと感じます。

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