50年以上前のマンガでも武器商人は死神と揶揄されていた

ハレンチ学園 永井豪

 ロシアとウクライナの戦争は当初の西側の一部の予想ではとうにロシア側がギブアップしてプーチンは失脚するとの見立てでした。そのような情報が何度となく流れては揺り戻して膠着は続いています。ロシアの緊急招集の兵のモラルが下がり、武器も古く十分ではないという情報も流れていますが、どうだかわかりません。アメリカの宿敵ともいえるイランがロシア側につき、兵器やエネルギーの提供をするということで、停戦、終局への道は遠のいているとさえ感じます。

 ほくそ笑んでいるのは、まさに死の商人、武器商人、軍事メーカーであり、彼らはすでに大儲けをした上、政治力を持って停戦を阻止しているという話は、状況から見て間違いないでしょう。その間にも両国で、市民も兵士の命もどんどん犠牲になっています。

 今でこそSFやバイオレンスの印象の強い永井豪さんは、初期の頃、エッチなギャグまんがで一世を風靡しました。その代表作ハレンチ学園もですが、毎週愉快なキャラがいろいろ面白くエッチな笑いをとっていたのですが、第一部の終了近くには、いきなりレギュラーキャラも惨殺される、凄惨な暴力の描かれた戦争編に入ります。

 自由という名のハレンチ学園側と、それを毛嫌いする教育センター、戦争までそするほどとはマンガの世界ですが、どちらも正義は自分側にあると思っての、唐突な戦争編への突入の話でした。
 米ソの冷戦並みに、ハレンチ学園と教育センターは戦争をするほどに恨みあっていたという設定からです。そんな中にも「ドクロのマークでおなじみの死神重工です」と現れる死の商人が登場する場面があり、双方に強力な武器を提供して、戦争を激化しようとしているような場面がありました。

 戦争で金儲けをし、戦争を煽っているような存在は、薄汚い唾棄すべき下劣な人間に描かれ、子供心に軽蔑したものです。
 しかし、世界の軍需産業はどうでしょう。
 軍事産業の幹部は、NATO加盟国、とくに装備の弱い国に、武器の提供を望むなら、さらなる永続的な装備を期待する旨を表明しています。彼らにとって、戦争は終わって欲しくないメシの種であり暴利をむさぼる商業的土台です。そして多くの政権に影響を持ち続けることで、世界を脅かせながら自らは巨大化していくのです。

 プーチンのロシアは西側の報道では、軍規は乱れ、兵器も装備も古くひどい性能だと、その蛮行とともに悪い印象を抱かされます。

 しかし、戦争が始まれば、どちらも正しいと主張し、それはどちらも醜いものであり、それを増長させる存在はもっと薄汚いものです。正義の聖戦に見えても、その装備は人殺しのために作られたドクロのマークの死神、死の商人が介在しているのです。

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