脳はサボりたがるから応援する

 剣道や茶道を修行する段階で「守・破・離」という言葉があります。「守」は、師や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身につける段階。 「破」は、他の師や流派の教えについても考え、良いものを取り入れ、心技を発展させる段階。 「離」は、一つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階です。

 私は、子供の頃から、面白いところにすぐ目移りして地道な学習、修行に飽きっぽい性質でしたので、この言葉は好きではありません。どちらかというと今ならADHD、「注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害」に分類されるタイプだったのでしょう。忘れ物やチエックミス、ケアレスミスは多いけれど、上級学年の学習を先にやっていることはありました。天才型にそういう傾向の人は多いと言いますが、残念ながら凡才ではありました。

 しかしまあ天才型にこの、「守破離」を地道に行えないけれど、すごいアイデアを出す人とかは良くいます。親や部下としては厄介ですが、うまく最低限の適合をさせて、良いところを引き出す教育や指導をすると爆発的な才能を開花させ、強力な味方や戦力になるでしょう。

 世間のつまらないしきたりも、それはそれで必要なのですが、ADHDにはそれが全く見えない時があります。それを威嚇して抑え込むとせっかくの才能も、さぼり始めるとまったく機能しなくなります。

 天才にしろ、平凡にしろ、人間の脳はそれなりに経験し対処法を合理的に考える力はあります。企業などの現場で起こっている課題に対処するアイデアや自分なりにステップアップする方法は、実際に経験している人間がバイアスにとらわれず考えると、思いのほか浮かんでくるものです。

 ところが、良いアイデアを出せという上司や、もっと勉強してレベルアップせよという指導者は、前例や組織などのいろんなしがらみに囚われてそれを抑え込み尊重しません。

 提案をしても、それはこうだからできない俺の言う通りやれと言われると、脳は考えるのをやめて、言われたことを消化するだけのイエスマン脳になります。なぜなら考えるのにはエネルギーがすごく要り、褒めらる尊重されるなどの快感ドーパミンをもらえないと辛いだけだから、合理的な脳はもう考えることを止めます。ルーティンを効率よくやる、考えることをサボるのが脳の動きになるのです。

 良いアイデアを出せる人、営業や研究などを長く続けられる人は我慢強い面もあり、良い教育者、指導者に恵まれ環境も良く、本人もそのパーソナリティを知り、自分のスイッチの淹れ方をよく理解したのでしょう。

 ADHDに天才や優秀な人が多いと言って、俺はルーティンは嫌いでサボってもいいではただの変人です。最低限上司や同僚への理解を求める姿勢がないと、社会では残念な人で終わります。こういう知識も含め、アイデアを出し合えれば、良い職場や社会環境になっていくのではと思います。

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