水墨画の世界を青春小説で 書評『線は,僕を描く』

 基本的に映画と小説は違うものだと思います、最近はこういう俳優がこの役でとか、作家が映画化をイメージして書いている場合もありますし。ノベライズに近いような作品もあります。

 しかし、視点人物が散漫な映画やドラマと比べ、小説は約束事がある程度あります。最近はミステリでも叙述トリックなど多元的な視点を加えているものもありますが、基本が主人公の方にとまった鳥の視点で描く小説の方が落ち着きますし、シンプルでフェアです。
 作者的神の、感受性もウンチクも全然オッケーで主人公の肩にとまって感受性と内面描写も情景描写も思うままです。

 出来過ぎというか、うまいこと行き過ぎの御都合もありますが、小気味よいテンポで、伝統的な世界が広がります。

 面白く読めます。それは間違いないですし、青春時代を謳歌するような大学生に戻れるようなスッキリの読後です。

 マンガにもなり、映画にもなり、さらにイケメンの横浜流星が主人公!?
 ちょっとカッコ良すぎです。傷ついたモラトリアムな若者を私は何となくイメージは若い頃の吉岡秀隆みたいに思って読んでいたのですが、流星くんも好演はしているそうですが、あんなにイケメンで資産もあるならモテるし何とかなるとヤッカミを覚えそうです。ツンデレのヒロインは「ちはやふる」のキャラと被る感じ清原果耶、まあそんなところかなとは思います。

 映画見る前に読んで欲しい感じの、本屋大賞3位入賞作です。

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