非常に個人的な身の回りの財政的問題から話しますと、マンションに住んでいまして、その理事を担当していまして、大規模修繕工事は今年終了したのですがその後、今後の財政問題が持ち上がっております。
持ち家として集合住宅を所有している方だけの問題で恐縮ではありますが、御多分にもれず、何もかもが物価高騰のあおりを受けています。住宅設備の場合、長期にわたり個別の需要の少ない資材や機器類を安定した価格で抑え込むことは難しいですし、人件費や運送費、加工なども当然に値上がりが予想されます。元々の財政構造とともに、次回以降の修繕積立金を値上げしないとやっていけないのではという問題が顕著になりました。
こういう基礎知識や、今回の経験が無い方に、輪番で役員や理事を回すと判断も難しくなるところです。かと言って今の段階で、すべてを見切って値上げという判断をするかどうかは微妙なところです。
国政で言うと、財務省寄りの安定財源確保の増税派と、歳出削減の値上げ先送り派に分かれそうです。
実際に15年や20年30年先となると現役世代も次々と年金世代へと移行します。そんな中で月の固定費になるマンションの管理費、修繕積立金が上がることは、ベアの無い中で可処分所得が下がることになり、なかなか納得ある説明は難しくなると思われます。
マンションの資産価値とすれば、汚れた外壁やエントランスでは問題ですし、10年も経過すると以前は問題なかった部分が喫緊の補修が必要な場合も出てきます。水道や電気、自動ドア、宅配ボックスなどの施設も次々保障や部品保有義務期間さえ過ぎて、更新時期を迎えます。安全安心のためと、最低限の稼働のためにお金がかかるものが増えるのと、確実に見積もり想定することは難しいものです。
かといって、何が起こるか分からないので念のため高めにしておくでは納得されないでしょうし、問題が起こってから積み立てを上げても間に合わないケースが出てきます。
防衛費をGDP2%にという議論も本当にそういう面で難しいところです。有事が迫っていたら、悠長なことは言ってられないことになるというのは保守の論客のおっしゃることで間違いはないのですが、同時に国を強くするには少子高齢化対策、人口減少に歯止めをかけないと国力は維持できません。総合的な意味では、歳出削減や議員報酬、公務員給与なども抑えるだけ抑えて、防衛と福祉のためにはこれだけの税が必要で財政をこうしたいという明確なビジョンがないと話は進みません。
保守側は、「北朝鮮コワイよ、中国が台湾攻めたらどうします、ウクライナ見てみなさい」ともちろん言うことも分かりますが、一方でコロナ禍でストレスもたまり子育てもできない状態の社会構造です。子供を作って、保育から高等教育ぐらいまでそれほどお金がかからないイメージができなければ、結婚して子供を沢山作ろうという若者は増えないでしょう。
戦後、苦労して今の日本の構造を作った60代、70代以上の政治家や官僚のパラダイムはもうここへ来て完全に変わらないといけないのです。
エコとかSDGsとか流行りで言われますが、コロナが収まると結局、金満なクリスマスや年末年始の消費が始まります。それはそれで経済を回すので必要ですが、財政の在り方はここへきてもっとベクトルを変えないと日本の未来は厳しいでしょう。