歪みがいっぱい #サンクコストバイアス

 バイアスという言葉は今は広くビジネスや社会で、陥りやすい「歪み」「先入観」「偏見」「かさ上げ」という意味で使われています。

 サンクコストバイアスとは、「ここまでかけたコストを無駄にしたくない。だから辞めずに続けよう。」と考えてしまうバイアスです。

 経済政策や行政の分野においてもそうです。政府は税金を投入し、法律で決めて進めた政策を後戻りさせるのは好きではありません。いろいろ取り繕い何とか恰好をつけようとします。これは民間企業や個人でもそうなります。また医療分野においては、患者がこれまでかけてきた治療から他の治療法に移る際に、「ここまでこの治療でやってきたのだから、このまま同じ治療を継続したい」と考えてしまうといった事例が発生しています。これだけ書くと、上の写真も見ると、現在の情勢からアレのことを言ってるのではと、ピンと来ますかね。

 私自身、今仕事をしている事務所は年金の業務ですので、その知識を上部組織である厚労省から得てやっています。ですからそこには自然と他人から見ればバイアスとされておかしくないスタンスになっていると思います。ネガティブな情報や意見も来ますが、本来それを説得したり、ご説明するのが仕事ですから、どうしても体制側の知識バイアスに陥ります。

 同年代の友人が、自治体のワクチン接種の差配業務の臨時職に付かれていますが、やはりそうなると上から情報や知識を貰い、指示に従い仕事をするわけですから、どうしても営業ノルマ的にワクチン接種を進めてしまっているような印象を受けます。

 テレビの情報、ネットの情報もさまざまであり、本人がバイアスに陥ると、もう全ての見方は変ってしまいます。

 まさにバイアスのかかった専門家、いわゆる御用学者ではない、適切な専門家による情報共有、意見が求められる事例です。

 増税とか防衛とか国家的な決定でも、本来公務員試験や司法試験などを受かったアタマの良い方がこのバイアスにかかってしまいます。自分の知識や経験の多さが、無知な者をもどかしく思うほど国家的使命感にも駆り立てられ進まれます。しかし組織の恩恵、得た知識による優越でかかる大きなバイアスだから厄介なのです。

 医療分野では、サンクコスト以外にも様々なバイアスがかかりやすいです。その要因としては、医師が持つ情報と患者が持つ情報に大きな差異があることや、医療における患者の精神的な負担なども考えられます。

 いろんな意見を聞き、毅然とした気持ちは持ちながらも、心の中に、謙虚さを持ち続けないと、傲慢で不遜な人間になってしまうものです。

 

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