防衛費を「復興特別所得税」から そもそも論

「日本一美しい漁村」と呼ばれた石巻市雄勝(おがつ)町に、震災後にできた巨大な防潮堤。違和感しかないと言われています。

 防衛費、5年間43兆円の財源をめぐって議論が噴出しています。軍備そのものの是非や戦争の可能性は右から左ものすごい議論になりますので、ここではおくとして、財源に関してです。

 「復興特別所得税」からとか法人税、たばこ税からとか、あるいは「建設国債」の対象を拡大してとも言われており、そこも喧々諤々です。潔く「防衛費増強特別所得税」にすればいいという話もあり、「復興特別所得税」からだと復興が後回しになるようで被災地県や世論に申し訳が立たないとかも言われています。

 財務省主導、行政、役所というところはセクト主義であり、自分のところに紐ついた予算を手放すことはしたがりませんし、仕組みもそう簡単にお金を右から左に違う目的にできないのです。ところがこれが、財政の逼迫したと言われる日本で硬直化して、「財政破綻寸前だから増税、負担増や給付やサービス低下」となっていきます。税金、国債からのお金にしてもお金に色も目的も書いてないわけなので、柔軟に対応すれば国民の負担は軽減するはずです。
 復興特別所得税を他の目的に使うなんてケシカランという主張に賛同される方もおられると思いますが、そもそもそれっていくら必要でちゃんと使われているのかご存じでしょうか。

 復興特別税の使途は①被災者の支援、②住宅再建やまちづくりの復興、③産業や生業(なりわい)の再生、④原子力災害からの復興や再生 でこの項目で予算、決算支出が開示されています。そして復興特別法人税は献金や選挙対策目的で企業の要望通り3年ほどで廃止され、一般の所得税からのみ徴収されていました。

 ここでも法人税は優遇され、消費増税が財政再建にそれほど奏功していない背景もあります。何が何でも大企業の減税をして、政治屋は献金をもらい、官僚は天下りポストを確保しました。復興というお題目は残しつつ、民主党菅政権から、野田政権、そしてさらに法人優遇をした自公政権、安倍さんの時代に繋がります。まあ、それも評価はわかれるのでおきましょう。
 
 原子力災害復興へ、汚染水処理から地域の除染などそれなりの計上があるのはやむなしでしょうが、それでも年150億程度です。

 問題は雑な使われ方です。予算がおりれば使わないと次はもらえないので使います。「沖縄、北海道など全国の道路改修・新設」「南極でのシーシェパード対策費」「クールジャパンの推進」「検察運営費」「荒川税務署の改修」「東京スカイツリー開業プレイベント」「航空機購入費」「米国での戦闘機訓練費」「ODA」「小型衛星局」もはや意味不明の使われ方です。自治体では、いかがわしい行為に使用され処分された場合もあります。

  あとは写真の通りの違和感です。そして目的にかなっているようでも、唐突で違和感のある自然を破壊するような防潮堤です。宮城県では海沿いでは全域にわたり延々とこの自然破壊が行われほぼ完了しています。ゼネコンが儲かるようにしっかりと使われてます。

 私は数年前、震災後の昆虫生態調査ボランティアで宮城県の奥松島、浦戸諸島を訪れました。廃校になった小学校のある島でさえ、太平洋沿岸は見事にこの高い防波堤に囲まれています。

 ウミホタルなどの観察できる一部の入り江は残っていますが、海浜の生物の生態系はもちろんほとんど壊滅しています。そして工事にいろんなところから持ち込まれた土砂などで、昆虫や両生類などの生態系も大きく変わっています。片方でSDGSや自然破壊反対の時代に何たること何でもありかの印象です。

 復興のためには仕方ない面ももちろんありますが、そもそもの復興とは何なのでしょう。被災者が自立でき、原発がケアされ、地元の経済を支えてこそです。地元の産業や経済が立て直されない現状なのに、他の都府県の大手ゼネコンや一部の官僚繋がりだけが潤う復興税なら、防衛費に回せばよいのです。

 これ以上、増税の枠組みを作るのはNGです。復興税の防衛費転用いいじゃないですか。

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