けっこう致命的だった日本のデジタル化の遅れ

 サイトウさんという、斉藤の「斉」の字が沢山あることは、ご存じでしょう。異字体と言われる斎や斉のいろんな字があり、30字以上あると確認されています。そのすべてが戸籍に登録可能であり、驚くべきことにフォントがあるのです。

 このような国は日本にしかありません。文化だという方もおられるでしょうし、面白いウンチクネタだと思われるでしょうが、笑ってられない問題です。名前の字を間違えば、本人は機嫌が悪くなり、失礼にあたります。ただ、この31もの種類の漢字が本当に必要なのかという問題と、そういう固執で日本のデジタル化は遅れ、個人情報の損失や年金や納税の記録が喪失するなど、アナログ故の大変なことが起こっていたのです。

 ようやく普及の進んだマイナンバーですが、ほとんどの国でこういうセキュリティのIDコード化した制度で、個人の管理はとうにしています。
 日本は、もう30年くらい前から、2000年代に住基カードを導入するも、『国民背番号制に反対』とか、愚にもつかない意見が通って延期になってしまいました。番号ではなく、名前と生年月日、住所などで管理するという、およそ人為ミスが多発して、アナログで時間のかかる方向を継続してしまいました。その際に漢字が煩雑なので、拒否すれば良かったのですが、器用な日本人はフォントもいろんな漢字に対応できるようにして、異字体もパソコンで取り込めるようになってしまい、残念ながらさらにデジタル化は遅れてしまいました。

 漢字の母国、中国のように、簡字体をメインにしているのは違和感をもって伝わっています。日本ではいろいろも問題があり反対され難しそうです。それでもこの斉のように無制限に漢字を使用可にするのは、さすがに大いに?疑問を感じます。
 正確に書かないといけない書類が多いですし、パソコンの環境では変換できない字もあると、別人という判定になることもあります。

 完全にこういう異字体漢字を御蔵入りにしなくても、もっと早く個人番号が普及していたら、「消えた年金」の問題もほとんど無かったと思われます。「複雑な漢字、同姓同名、結婚して姓が変わる、住所を変える、会社を変わる、、」いろんなケースで個人番号が無ければ大変なことが起こるのは想像に難くありません。役所の怠慢とかではなく、元々厚生年金、国民年金、共済年金がそれぞれ番号を持っていたのを統合する際に、個人番号が無かったのが大きな悲劇の始まりです。

 そして、給付や還付、返戻金などの度に、銀行口座の登録書類を出していたのも、とんでもない事務作業であり、個人情報とくにお金の絡む銀行口座の情報が危険にさらされていました。

 別の事情でマイナンバーカード制度に反対する勢力が、「個人情報の流出が心配」という見当違いのデマを煽り、制度導入を遅らせようとしていました。個人情報の流出は、申請の都度銀行口座を書いてする方がよほど危ないはずです。煽るのは口座を隠して、財産を誤魔化して、マイナンバーで本名が出るのを恐れて脱税や不正受給をするような悪い連中と思われます。

 結局、デジタル化の遅れは、文化とか慣習がと言っているうちに、ハンコも紙幣や貨幣のお金すらないうちにスマホを導入したアフリカ諸国にさえ後塵を拝すことになりました。
 IT化が叫ばれたのはもう森内閣時代、30年ほど前になりますが、結局進まず、リーマン後の失われた30年の、大きな要因となりました。

 慣習にとらわれず、日本人の器用さ、勤勉さでこれからこの遅れを惑わされず取り戻せるかどうかです。防衛費や少子化以外にも日本の浮沈はこういところにもあります。

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