野球スポーツビジネスとして進化?

 WBCが平日の昼間でありながら、日本が決勝でアメリカに勝った試合は最近の地上波テレビでは記録的な視聴率を叩きだしました。野球の人気、ビジネスの可能性を改めて認識させられたエポックでもあります。コロナ禍でのスポーツイベントの低迷を吹き飛ばし、昨年W杯で盛り上がったサッカーの代表戦を長年羨んでいた野球界としても、してやったりの快挙でしょう。

 しかし、この盛り上がりをどうNPBに繋ぎ、アマや少年までの球界全体の底辺まで伝えるかはこれからの課題です。野球を長年見てきて、バントやゲッツーなどの戦術ぐらいに当たり前に知っているのはオールド世代です。WBC の放送で、ルールや用語解説がテロップに出ていたように、野球の複雑なルールや、戦術、大会規定など知らない世代が増えているのです。

 観るだけでいうと、野球は細かいルールや醍醐味を知るまで覚えることは多いです。申告敬遠で不満を漏らすなども野球を知っていてこそです。ルールもですし、相手の力量など背景を知らないと何のことか分からず面白くもありません。サッカーに比べてもルールも複雑ですし、テニスやボクシングなどの個人競技に比べたら難解な上、人数や、用具、グラウンドなど普及は簡単にできないハードルの高いスポーツです。

 日本で野球が根強い人気のあるコンテンツであることは今回改めて分かりました。そしてあれほどのトップレベルの試合も観つつ、NPBのオープン戦や高校野球にも人は集まっています。それでも懸念はあります。

 ひと昔前の巨人一強独裁時代でセリーグ中心からは改まっていますが、新規参入を拒む古い体質の業界であることに変わりはありません。
 確かに、以前はお荷物だったパ・リーグが南海のダイエー(現ソフトバンク)買収に始まり、千葉へロッテ、北海道に日ハム、そして楽天が仙台に本拠となり、所沢の西武、大阪のオリックスも地域に密着したファンサービスで動員を増やしました。独立リーグも出来ましたが、これだけの野球人気のある日本でトップリーグが12球団しかないのです。NPBが地方巡業をしながら独占していること自体がやはり発展を閉ざしているのです。
 サッカーのJリーグや、一度再編されたバスケのBリーグなどは、実は野球人気やその試合数からして、動員は随分少ないし、やはり人気にないチームは経営も苦しいのですが、業界としては競争原理の働く、健全さがあります。

 NPB、日本のプロ野球は未だに企業名を冠して、大手企業の広告を担っています。そしてNHKはじめ全てのマスコミが、タイガースやマリーンズと呼ばず、「阪神」「ロッテ」とか「ヤクルト」という企業名を連呼します。このあたりから野球界の談合体質、排他性が残っていることが見えます。たかだか6球団ずつの寡占状態では澱みが生まれます。WBCの成功はNPBの成功ではありません。このままではメジャーへの流出が止まらなくなり、NPBはメジャーのマイナーリーグになり結局基盤を失いかねません。

 MLBにしろNPB にしろライバルがいない独占状態で、排他的な一人勝ちであることが底辺の拡大へかえって問題になっているともいえます。一団体が権力を持ちすぎると、ガバナンスが効かなくなり、老害的権力が居座ります。マスコミもよほどでないとお調子記事だけになり制御が効きません。
 人気面も含め、世界的にはサッカーのようにいくつもの国に切磋琢磨できるレベルの高いリーグができることが理想かと思います。日本では16や20くらいの地域クラブから昇格したプロができて、アマとつながっていくことが裾野を広げます。教師のブラック化や一部の指導者のカリスマに頼るような学校での育成はもう限界でしょう。
 名指導者は学校ではなく、クラブに抱える方が健全です。企業や学校の宣伝のためにスポーツが使われることから脱却されないといけません。

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