ウクライナは報道しすぎ、シリアやスーダン他の国は

 ウクライナの戦争の報道量は国際紛争としてはかつてないほどの異常なまでの情報量になって、マスコミに一般人が洗脳されるほどのものになっていたと思います。
 これは日本人が悪いのでも、陰謀論でもなく、欧米や豪州などでも共通でプーチンロシアの侵攻と、ゼレンスキーのウクライナが戦禍にまきこまれた善悪の構図が受け入れられやすかったのでしょう。
 コロナで沈んだ社会で、プーチンは捌け口ともなる恰好の悪役であり、ウクライナは同情すべき悲劇の国となったのです。
 そして、ニュース番組だけでなく、ワイドショーでも繰り返し、ロシアの侵攻したウクライナ情勢が取り上げられ、今まで多くの人が知らなかった都市名が注目され、認識されました。
 こう書くと、ロシア擁護派や陰謀論に組みしているような印象ですが、そういう意味合いではありません。東欧や、中東、アフリカやアジア各地の紛争にも常に中国以上に関与してきたロシアの覇権主義は非難が当然で褒められたものではありません。今回はロシア憎しを増長させたい思惑と、分かりやすく、バズりやすい構図が予想以上に飛躍的な量の反響で増幅を繰り返しました。
 しかし、逆に言えば、同情すべき同程度の悲劇の国家は日本人の知らないところで、ロシアが関与している国だけでもたくさんありました。
 今回、トルコ南部とシリアで大きな地震に被害があり、地震の被害には敏感な日本人の感覚に少しシンクロしました。
 しかし、シリアは悪名高いイスラム国を産み内戦の悲劇が続く国であり、地震と戦争のダブルパンチです。
 表題の映画は地震の前に日本人の作ったドキュメンタリー映画です。シリアの北部にアレッポというオリーブオイルだけで作られた石けんの製造で著名な街がありました。このアレッポの名産の石けん工場は、今戦禍のシリアを逃れ、ほとんどがトルコに移転して製造をしているというお話です。
 アレッポでさえ知る人ぞ知る街ですが、ロシア軍、やトルコ軍、NATO軍、アメリカ軍が平気で跋扈し、市民がほとんど難民になって離散している国とは想像ができないです。爆撃がある東の一部を除き、首都キーウや西部の多くは脱出するほど悲惨ではないウクライナと比べるものでもありませんが、難民の数もハンパではありません。

 ロシアのウクライナ侵攻が始まった時、海外居住の日本人の方で、日本の難民受け入れが少ないのを嘆き非難し、ボランティアやウクライナ支援の寄付、難民受け入れをなぜもっとしないと糾弾論調で私とSNS上で議論しかける人がいました。
「日本人のほとんどは国際感覚がない、私は英米で国際政治を学んだ」とか言ってふっかけてくるのです。しかし、よく聞いてみると、欧米世論の煽りに乗り、ウクライナの情勢に一喜一憂しても、シリアもアフガニスタンもスーダンもミャンマーの紛争も大して知らない。
 私がじゃあなぜウクライナだけ支援して、難民受け入れ、他の国はしないのかと言い返すと、
「それは、、内戦だから、、」
 おいおい、内戦だって外国の軍隊が入って、被災者も難民も出ている。人数も経過時間も多い。
 ボランティアといっても、この人は日本に帰っても、日本の東日本大震災の被災者がまだまだ自宅に戻れないことも知らないのです。
 多くの人が、同様に、ウクライナの情報の異常な多さに、それしか見えなくなり、ゼレンスキーというトレンドにうまく騙され、流行りにのせられているのと同じでした。
 私もそんなに国際政治に詳しい訳でも何でもないですが、ウクライナ100もしくは1000とかに対し、シリア1みたいな比率の差別的な報道量であることは知って欲しいところです。
 世界中には、平和と安全が未だ遠い国が沢山あるということを改めて思い知らされます。
 

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