地方自治体非正規改善

 自治体で働く非正規職員(会計年度任用職員)のボーナスを拡充する改正地方自治法が26日、参院本会議で可決、成立した。期末手当に加え、2024年度から勤勉手当も支給できるようにした。処遇改善が狙い。
 会計年度任用職員は20年4月時点で全国に約62万人。うち約55万人を占めるパートタイムに勤勉手当を支給する法規定がなく、追加した。フルタイムは総務省通知で「不支給が基本」とされており、今回の改正に併せ、通知を改める。
 正規職員や国の非正規職員と同じく期末手当と勤勉手当を支給できるようにし、格差の是正を目指す。【共同通信ほか報道4.26】

 同一労働同一賃金の労働法改正だけではできなかった非正規公務員の賞与など格差の問題の是正を目指す法律がようやく成立しました。

 少しわかりにくい話かもしれません。この立場の方は市民から公僕で安定した給料と立場をいただく公務員に見えて、その実は年度や短期の非正規契約で多くは最低賃金+アルファ程度で月16万、手取りは13万程度です。それで地方自治体雇用だと、職員なみ業務をこなし賞与なしです。民間だと、賞与は寸志でも月額はもう少しいくような結構な仕事量こなしてもです。
 私も民間、地方、国と、それぞれの立場になったことがあるのだが、国の機関だと賞与ありになり、地方自治体だとなし。

 ただし「あり」にしちゃうと赤字の自治体は、お互いが厳しい視線にさらされます。民間だと業績悪いと、即賞与なしとか寸志だが、公務員は人事院勧告でそこそこ払うことになる。このことはやかみにもなります。財政が厳しい地方自治体は採用や更新を見直すかもしれません。長い目で見ればそれが、デジタル化、AIやロボット導入などで公務が効率化すれば良いのですが、この日本の役所の周回遅れのデジタル化はまだしばらくかかりそうです。

 数値で見ると、国も地方も財政厳しさが続き、非正規割合は高い状態が続くでしょう。地方自治体で教育や警察、消防除く130万人、管理職もいるから66万人だと半分以上非正規とで効率化が進まないと割合は増えそうです。土木や介護などロボットにすぐ替われない職種も増えます。現状、窓口やら電話で市民と会話するほぼ半分以上が、実は非正規です。それのほとんどは、実はオンラインでできるレベルですが、それを市民サービスと双方が勘違いしているので、当面減らせないでしょう。

 部門や地域によっては、ほとんどが賞与なく最低賃金に毛が生えた程度で市民からの多岐にわたる要望に対応しています。
 厳しい守秘義務やらルールに縛られ、市民、国民の難しい案件にも日々対応されている部門も多くあります。
 この非正規と正職員の関係がまた微妙に難しいです。仕事にラベルを貼って分けることはできません。電話の対応などもそうです。場合によれば、非正規の方が転勤も異動もなく、その部署の経験値が上がり、有能になっていく場合も多々あります。同一賃金どころか逆転現象です。いわゆる役所のキャリア、ノンキャリアの能力差でない理不尽なカースト問題の下にさらに非正規がいるわけです。
 この改正の恩恵自体は国民規模ではないのですが、一つのターニングポイントになるかもしれません。
 これでノンキャリア含め公務員の組合層の保守的な権利だけが温存されると、日本の行政のデジタル化、DXは遅れます。逆に人財、雇用を介護やインフラなどどうしても人の手に頼る職種にシフトして、行政事務を一気に改革できれば良い方向なのです。

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