AIが支配するのは悪か善か

 多くの方がインターネットを利用して、一度何かを閲覧すると、次にはそれに近いサイトに誘導されたり、関連した商品の巧な広告が入ってきたりという経験があると思います。
 比較的よく知られた言葉ではステルスマーケティング、略してステマという戦略技法が使われています。
 私がメーカー勤務していた時代なので、もうかれこれ10年近く前から個人情報保護と言われながらも、顧客のデータは収集、管理され、いろいろ利用されています。POSデータというのはレジで購買が行われた時点ということで、最初は売上や在庫の管理でしたが、商品でどういう層にどのくらい売れるかはもちろん、その買った人がどういうパーソナリティかもすぐ分かる訳です。
 私のいた大手日用品化粧品メーカーも、ほとんどのGMS、スーパー、ドラッグストア、専門店のPOSと連携していました。また販売をする流通側も、自店でこういう商品をPBで作って集客して売上を上げたいという時代にもなっていました。
 クレジットカード決済や美容カルテ作成などの一部のユーザーだけだった顧客情報も、いまや多くの人がスマホQR決済やポイントカード、マイナンバーカード連携をされるようになり、手に入れようと思えば消費嗜好に関しては筒抜けでしょう。
 この人は、独身で給料日がいつで月末の何曜日にはまとまった買い物をして、ファッションにいくら、化粧品にどのくらい使うとか、サイズや肌質、ヘアスタイル、色の好みおすすめの価格帯まで分かっています。
 店頭にいけば、本人にぴったりとう訳ではない商品を衝動買いして、後悔することがあること、その人が本来この週末に買うべきは何かまでメーカーサイド、流通サイドは分かっていました。これが何と10年くらい前からなのです。
 その後、チャットGPTがいま注目されて、AIがブレイクスルーしてさらに進化したと関係者はいっています。
 もはや、想像もつかないような時代です。
 少しでもネットを見ていれば、自分以上に自分にあった自分らしいアクティビティが推奨され、買い物どころか人生の選択、進学や就職、結婚もより適性な道が分かり、失敗する選択を排除さえしてくれるのです。自分の身の丈に合わない買い物をして失敗しないのと同じように、自分にあった学校を選び、仕事を選び、結婚相手が決められます。そして、相手も隠して投稿や入手している隠れたアカウント、いわゆる裏アカまで見れるわけですから、反社会的な行為をして動画を上げていた履歴などがあれば、ちゃんとした学校、会社にも入れてもらえないようになります。
 実際に、おそらく就職で、この裏アカ履歴調査というのはやっていそうです。かつては結婚や就職でも興信所を使って差別的な排除はありました。現代の裏アカ特定はある意味客観的でありより合理性があります。
 履歴書などは自己申告ですから、大して働けない人も盛って書いて、面接をマニュアル読んでハッタリ効かせれば採用されるかもしれません。むしろ、アピールが弱くても、ちゃんと仕事ができる人を、勝手にリクルートできる時代になってきています。
 就職希望年次で、通勤可能、スキルレベル、学習意欲や問題意識あり、幹部まで昇進できる可能性大というのが、紙など出さなくてもわかるようになっています。
 会社などでは、社交性でやや不適格で、そのまま音楽を続けたり、個人でデザインの勉強をした方がいいというのも、やがて判断が下される時がくるかもしれません。その人が回り道しなくてもAIが決めてくれる。今のチャットGPTはその一歩手前のようです。すでに進路相談はされています。

 AIやロボットに依存し、支配される人間というのは、子供の頃読んだSFの未来によくあったいくつかにパターンです。
 個人情報流出で悪用とか人権とか言われる反対もあるでしょうが、もうそのかつての未来に来ています。悪いことばかりではないはずです。
 ロボットが将棋やチェスで人間に勝ち、メイドや掃除も始めましたが、もっとできることや、やってもらうことはあります。一気に進化したAIに、政治や経済、戦争や環境問題、衛生、貧困など世界のいろんな課題を改善する方法を加速して考えてくれるのではないかと、私は意外と楽観して考えています。

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