日本の少子化は生物学の「密度効果」  #密度効果#異次元の少子化対策

 首都圏の混雑やらのニュースでよく見かける品川駅の通路の写真です。コロナ自粛も終わりましたが、相変わらずの人波です。ここにはインターシティとか超でかいオフィスビルが林立し、勤めていた会社の会議や研修でよく行きましたがこの駅からの人間の波は壮観であり壮絶でもあります。東京駅や新宿駅の方が乗降客は多いのでしょうが、見通しが良いためテレビでもよく映え、その人の群れの多さに圧倒されます。
 大阪の中心街をよく知っている関西人でさえ、この異様な人の波には圧倒され、人に酔うという感じを味わいます。ましてや、田舎暮らしの人は恐怖さえ覚え、気分が悪くなるでしょう。実際に地方から東京本社で長い通勤ラッシュと駅間移動をすると、ノイローゼになる人も良く聞きました。

 私は大阪にも住んではいましたが、主に地方都市の勤務も多く、今は地元の京都在住です。政令指定都市で100万の人口の京都とはいえ、少し周辺部で緑はあり、草木や鳥も花も日常に見れます。

 自然観察も趣味の一つです。鳥たちは巣作り、とくに産卵し、子育てに入っているような時、親鳥は必死になって時には自分より大きな外敵を追いはらいます。
 鮭の産卵をドキュメンタリー映像で見た方や、話を聞いたことのある方はおられるでしょう。水源や護岸工事で条件は厳しくなっても、鮭の遡上する河川はまだまだあり、その子孫を作るために必死な姿は感動を呼びます。まさに、受精、産卵のため命をかけるのです。必死に川底に穴をあけ、やせ細るまで母は産卵します。
 産まれた稚魚は、元気に泳ぎ出します。中には水の流れない淵に迷い、乾きかけてもやがて雨で増水すると蘇って、捕食されながらも力強く海まで泳ぎます。
 一生は子作り、このイベントのために捧げるような生物の力強い営みには、理屈抜きで敬意を抱きます。生物の尊さを感じます。
 逆に人間はどうでしょう。
 もう日本人は子育てがああだこうだで、結婚も出産も嫌な若者が増えています。
 狭い空間に毎日押し込められ、これ以上増えては種の存続環境を維持できないとなると、生物は生殖活動を制限します。生物学では「密度効果」と言います。
 魚や昆虫、群れを成す小動物なども、一定の範囲に同一種が増えると餌がいくらあっても繁殖を止め、個体も生殖に向けた成長をしなくなるようになります。
 そして、ある期間濃い密度効果の環境に閉じ込めると、いつまでも性行為をしない個体になります。
 あるいは魚の場合、密度効果の濃い水に別の個体を入れた場合や、個体を減らして密度を緩めてももはや、繁殖をしなくなる効果は続いたままになるのです。
 これは種により、空間の広さや個体数、近似種の範囲もまちまちで、幅広い統計も出ていません。
 

 人間を生物に例えると、差別的になり問題となるからか、あまりこの研究は広く知られていません。少子高齢化の問題とも合わせて報道されることも少ないですが、因果関係は明確だと言われています。
 日本はあきらかに人口密度の高い国、特に東京首都圏の人口密度の多さは世界一です。行政区の東京ではなく、埼玉や神奈川、千葉の都市部、山などで隔離されていない首都圏中心部は人口、人口密度ともに世界に類をみない集中度です。
 この日本の人口減は、子供を作りたくないという少子化は、さまざまな要素があるものの、密度効果、ここから来ていることは、生物学的にも明らかです。なぜなら、生物は本能的には、さまざまな苦難を乗り越え、子孫を残そうと命懸けで頑張るからです。

「同性婚」「LGBT」の議論などを並列に書くととんでもなく非難を受けそうですが、この問題を生物学的に考え、早く首都圏一極集中、地方創生のプランを実行に移さないと、日本の少子化は止まりません。高齢化は日本が先進で世界中でやがて来る人類の宿命と考える人もおられますが、一番人口が密集する東アジアの中でも日本は異常です。中国やインドも人口は多いですが国土が広く密度はそうでもないのです。最悪、日本人という「種」だけが急速に減っていき、プレゼンスが全くなくなる国家、民族になっていく近未来が待ち受けているのです。
 国家を考える人は、小手先の少子化対策、地方創生などではなく、本当に「異次元」?というか、高次元の考えで、国の在り方を考えないといけないと、東京の混雑を見ると思うのです。
 東京に住む人の多くはマヒして、あるいは慣例、慣習や既得権にとらわれ、今の環境を変え未来を見ることができなくなっています。
 

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