「ひろでん」の愛称と被曝電車のドラマなどでも知られる広島市内を走る路面電車中心の広島電鉄、1978年に京都市電が廃止となったのを受け、京都市交通局から購入されたものが今も走り続けています。屋根の両サイドに取り付けられた前照灯と車体中央のオレンジのラインが特徴です。各車両に京都にちなんだ愛称を募集した名前がついています。
広島には若手社員の頃赴任して住んだことがありますが、その当時でもレトロ感があった車両が40年以上走り続けているのには驚きます。川が多く、砂地で地下鉄の建設が難しいとは言え、JRや新交通もある中、広島市内はひろでんで回れる場所が多く、都市交通として便利に機能しています。
広島や岡山、富山、函館、熊本、鹿児島、長崎と市内交通の多くを路面電車が占めている都市は多く、宇都宮でLRTができるなど、昨今路面電車は見直されています。
京都や神戸などでは早々に廃止されましたが、地下鉄の業績は芳しくなく、路面電車を残しておいても良かったのではと思われるところもあります。昨今は消防上の退避経路や、バリアフリー化でエレベーターは必須となり、建設コストが高くなるわりには、アップダウンがお年寄りには結局敬遠されています。新規で軌道を作るにも踏み切りの規制があったりで、路面電車を残しておけば、施設もそのまま親しみもあり利用されやすいエコな乗り物だったのです。モータリゼーションの時代と考え急いで市内電車を廃止したところは、時代の先が読めなかった典型です。
今後もインバウンド観光、病院やモールと住宅地を結ぶ基幹の交通として、地域のいわゆるコミュニティバスやライドシェアと連動したLRTやトロリーバス、BRTなどを使う街は増えるかもしれません。ライドシェアの法改正、高齢者の運転免許返納などだけでなく、地域全体、しいては日本全体の交通をきめ細かく実態を見て再構築することが必要です。