鎌倉時代以降、武士という身分であり職業が日本にはありました。今でもサムライJAPANなどと言われ、日本人の心のよりどころともされますが、明治期に武士という職業はなくなりました。
天下泰平の江戸時代でも、戦国時代に比べて戦い領地を奪い、領地を守るということはなくなり、刀を使い武道を心得る職業としての武士は失職気味で、支配層の身分としての武士階級が残っていました。豊臣秀吉が天下を取り、「刀狩り」で勝手に武士になることを制限したこともなかなかスゴイことでした。それでも戦いが続かないと、軍隊の役割はなくなり、海外への無謀な戦争につながったのです。
明治維新後、四民平等となり武士という階級も職業もなくなりました。藩主などの上級武士は貴族になりましたが、中級以下は身分も職業もなくなる「失業」状態となります。ハローワーク、労組もない時代、多くの侍は警察官、消防士、国鉄職員やがて軍人今は自衛隊など公務員という受け皿に収まりました。劇的な転換に不満も多くありましたが、受け皿を用意するのは最低限必要なことです。
今の時代は労働者が法律や組合に守られ、社会に必要な仕事が変わっても、公務員も民間企業もなかなか転換できないのです。
JRやNTTの民営化はそれでもよくやったと思います。郵政は少し失敗とも言えます。
それほど劇的でなくとも、社会はどんどん変わっていくのに、同じ職業、同じ雇用は既得権の老害的な幹部や業界団体、組合に守られ、世論を操作してなかなか改革が進みません。
目の前の仕事、今まで関わっていた仕事がいきなり無くなり、明日から新規事業だと言われると誰でもびっくりしますし、不安になり不満を愚痴りたくなります。現状を守りたいのが権利だと騒いでも、「世の中変わっている、仕方ないから、新しい仕事を頑張れよ」という声があれば良いのです。職場は守れないと、賃金も労働条件守れというと、経営者も何もできません。ましてや役人、行政の上の方はつぶれないのですから放置したままになります。
明治維新や戦後のドラスティックな変革を推進したのも、最終的には改革を受け容れ進める国民です。このまま、日本がゆでガエルの30年を続けるかは選択の時期です。