国,公共と絡む吉本興業の光と闇

松本人志の問題で、吉本興業は週刊文春と全面戦争に入り、ジャニーズ事務所のように集中砲火を受けるのかと思うと、どうもそうはいかないようです。会社側は当初の全面否定の、態度を一変して、コンプライアンス違反を調べる姿勢を示しだしました。
 裁判は松本個人の文春への名誉棄損となり、5億の賠償とかぶち上げてはいるものの、勝利は難しく、勝てても金額はわずかと予想されています。争点のずれもあり、そもそもお笑いの帝王として多くの冠番組、賞の審査も務め、ニュース番組のMCまでやっている公の人物が、たとえ相手の合意や満足があっても、不倫やゲーム的飲み会を仕掛けての性行為というのだけで、今の地上波テレビとそのスポンサーではアウトです。
 少なくとも、この反省を表し、長い謹慎期間を経ないとテレビの復帰は無理です。実質、引退ということでこの件はフェイドアウトしそうです。吉本がこのまま、松本をかばっていれば、文春の攻撃は他のタレントや吉本の会社全体のおよぶと政治的な判断したともみられています。
 かばい立てする松本の同期らシンパ、別動隊もいますが、先輩や他の有力タレントもおり、松本の才能と人気は認めても、今回は処分が妥当と全体の判断があったのでしょう。すでに創業者も社長からは退き、ダウンタウン以降のマネージャー経験者が経営陣ですが、多くの部門を抱えた大きな会社ですから、さすがに松本一人が経営に口をはさんで重要な意思決定をするのではないようです。
 文春といえども、吉本との全面戦はさすがに一大事で総力の消耗戦が予想され、政府中枢のジャニーズや、政府中枢以上の覚悟が必要でした。
 吉本は、またしたたかに生き残りそうで、それはそれで功罪、光と闇があります。私自身、関西人で、小さい頃から吉本新喜劇や、お笑い番組を見て育ちましたから、全くその存在を否定するわけではありません。


 芸能界や、興行の世界は、反社会ともつながったそんなものと思えばそれまでです。
しかし、かつての爆笑王横山エンタツとともに吉本の創業者がモデルとして歴史上の人物のように今もNHKの朝ドラに出るなど、そこはあまりにもキレイな部分、芸のところだけにしていて、ちょっとそこは問題ともいえます。数年前に葵わかなと松坂桃李主演のドラマ「わろてんか」も吉本そのもので、小さな寄席を買い、戦時の慰問など歴史を事実のようになぞりながらも、汚い部分を省略してドラマ化するのは少し問題が多いと思います。
 京都の花街、甲部歌舞練場も戦後一時吉本のキャバレーでした。力道山のプロレス興行も京都で行われました。
 政府やGHQ,マスコミ、常に強い権力とつながり、したたかに勢力を伸ばしたのが吉本です。

 (写真は全て吉本HP、ヒストリから)

 NHKもすでにバラエティやドラマはもちろん、情報番組や報道番組など多くの番組でMCやメインのキャスター、声の主演も送り込み、制作を任せています。
 朝イチの博多華丸大吉、チコちゃんの岡村、キム兄、ファミリーヒストリの今田耕司などチョット思い浮かぶだけで、多くの吉本芸人が入っています。
 アスリートも各プロスポーツ界に、ヤクルトの村上や青木などこの人もと思うぐらいスポーツマネジメントも広げています。

 1980年代あたりは、東京進出前で、この時期も新喜劇の衰退はあっても、若手の漫才ブームを作り出す健全なパワーはありました。
 先日なくなった坂田利夫はじめ、何人かは鬼籍に入り、何人かはレジェンド的な大先輩として今も残っています。
 東京進出とともに、マスコミ界、テレビ局を株主にして、報道にもタレントを送り込み、スポーツマネジメントなど他分野にも渡りその力を広げています。今回の松本問題でも、テレビ局があまり報道しないのはそのあたりです。
 テレビ朝日のサンデープロジェクトとというやや硬派な番組を、今は引退した島田紳助がキャスターとして試金石のように送り込まれ、その後多くの情報番組のMCやコメンテーターを輩出するようになりました。政治的発言の得意なお笑い芸人も上手く、政府やマスコミの世論を誘導する役割で、ジャニーズ事務所とともに吉本が席捲していました。

 天才漫才師といわれた横山やすしの暴力事件、漫才ブームから多くの番組をプロデュースまでした島田紳助が反社会勢力との交友を公言して引退、宮迫孝之の闇営業問題など、何度かのピンチも、裏では当たり前のような闇と付き合いが表に出そうになるときれいごとで上手く立ち回り、切り捨てるものは切り捨てて乗り切ってきました。今回の松本はどうするでしょう。
 もっと怖いのは、関西、大阪を中心に万博をはじめ、御堂筋、梅田など多くのイベントや開発事業に吉本が深くかかわっていることです。そこで不公正なお金が動いているとしたらです。そこに闇があってもなかなか株主テレビ局は報道しない可能性が高く、このあたりが松本の性癖などよりも本丸なのかもしれないのです。

松本人志告発で思うこと – 天使の星座 (seizafpkotodama.com)

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください