不適切な言葉と言葉狩りの間(はざま)

 未だに女性蔑視や障害者差別などの不適切発言で辞任やら謝罪の政治家がいます。とは言え、昭和や平成のはじめの世代にとって「言葉狩り」とも言える、不適切な言葉の言い換えは多岐にわたり「そこまで、それも、いつの間に、」となかなか難しいところがあります。
 〇〇夫、〇〇婦、女〇〇などと言うのは基本不適切だそうです。性や宗教、障害者や病気とかも連想されるだけで、「好ましくない」とされるようです。
「看護婦」が看護師となるのはその職業が男性もいるのでわかりますが、元々外来語で、丸覚えしていた「スチワーデス」がキャビンアテンダント(CA)が当たり前になり、「盲滅法(めくらめっぽう)」が差別用語で、「ブラインドタッチ」はタッチタイピングとなりました。ブラインドサッカーというのは、そのままOKなようで、このあたりはもはやネイティブでないとその感覚は分かりません。
 初めて世に出す作品を「処女作」と謳ったものですが、美しい響きの言葉ですが不適切らしくあまり使われなくなりました。子供の運動会でも「障害物競争」も障害者を想像させるということで「チャレンジ競争」個別に「飴食い競争」など解釈が難しい言い換えになっていきます。
 それなりに定着もし、そこから差別や人権軽視と想像することは曲解に感じるような美しい言葉まで狩って禁止にするのはどうかなと思います。
 学校では「父兄」とか「お父さん、お母さん」という言い方も「お家の方」と言い換えるそうですが、子供が迷子になっているときとか「お母さんは?」と聞くのもそのうち不適切と指導されそうな感じです。男性社会の名残かもしれませんが、「母性」が父性よりもよく使われるものであるように、「兄弟」は姉妹よりも幅広く男女を含んでいるのが日本語です。父兄という言葉の意味する中には母が当たり前に入っていると解釈して差別でも何でもなかったはずだと思います。言葉はそこまで考えて出来てはいません。
 私もブログで書いていたり、経歴や人物を紹介する時「課題解決を提案する営業マンでした」「ビジネスマンに最低必要なスキルとして英語、会計、ITを勉強しました」と話したりしていました。それも「営業担当」「ビジネスパーソン」が適切な言葉のようです。
 もちろん一部ではまだ「・・マン」も使われています。
 子供の頃からよく聞いた英語の挨拶の冒頭定番、「Ladies and Gentlemen」(レディース・エンド・ジェントルメン)という呼びかけも取りやめているところが増えています。 代わりに「All Passengers」(オール・パッセンジャーズ)や「Everyone」(エブリワン)などジェンダー中立的な言葉を使うようになっています。
 日本を代表する特撮ヒーローもそのうち、「ウルトラマン〇〇〇」ではなく、「ウルトラパーソン〇〇〇」になっていく日も近いかもです。

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