昔の会社は、大手の化粧品メーカーで販売会社という地区を預かる組織が大きく、各都道府県よりも多い数の拠点があり、それぞれに経営幹部がいて、多くの管理や販売部門と美容教育、派遣先で商品を販売する美容部員がいました。そのため、経理や総務も独立した課を持ち事務員を何人も抱えていました。
それでも正直なところ、昭和の時代は大卒女性の就職がまだ少なく、事務職も美容部員さんも高卒か短大がやっとでした。戦前からの大きな会社で福利厚生もそれなりなので、事務員で勤めていても、美容部員も取引先に『派遣』はされますが、ほとんど正社員で派遣社員ではなく、自営をしているよりも福利厚生含めて待遇としては良かったかもしれません。
確かに電話で受注を受けて、発伝するとか集金もするという今では考えられない事務や営業もしていました。しかし、平成も10年ぐらい過ぎると、ITというかデジタル化が進み、バックヤードでやることも変わり始めました。
経理も地区本部や本社に統合され、拠点での事務はどんどん減り、それでもワープロを打てずExcelもでき無い幹部の書類作りなどをやっていました。
取引先は爺さん婆さんの個人経営の店主流から、ドラッグストアなどの企業中心に移行して、相手のシステムについて行くなど、さまざまなITへの対応も求められました。
社会はその頃から、産休、育休の代替要員も必要な時代に入り、事務や営業補助に「派遣会社」の人も契約され続けて2度ばかり地区営業の拠点に来られました。
篠原涼子さん主演で「ハケンの品格」というドラマもありましたが、とても優秀で素早く仕事をこなし、休業中の前任社員の倍、いや数倍役立つスキルをもっておられました。残念ながらその差は誰の眼にもあきらかになりました。休業中の方はどちらかと言うと人は良いのですが、『どうやりましょうとかどうしたらいいのでしょうとか、Excelのやり方わかりません』と販売や先輩方の時間を食う存在でした。そのハケンの方は、1を聞けば完璧に10以上をこなし次の10は何か想像でき、かつ社員を立てながらも次をうまく効率よく提案する方でした。
大変難しい問題ですが、事務職の方も、販売系の幹部に至っても、そもそも年功序列です。パソコンスキルはもちろん、トラブルへの対処など能力が無かろうが正社員の給与、待遇は良く、無期の雇用が決まっており、人員も限られていますから続け様にアクシデント的な休暇を取る人がでない限り、派遣契約が切れたらその人は職場を去ります。
いろいろスキル、小技のような工夫、細かいノウハウを持っている方や、そもそも入力作業が早くて正確というレベル違いを見せつけられても、残念だなと思うだけで仕方なく、戻ってきたママチャリのような速度の人にF1の速さを求める術もありませんでした。ママチャリが降らついて倒れないのを見守るだけでした。もちろんママチャリの維持費、年俸は高く賞与も退職金もあるのです。
多くの会社、役所でも似たようなことは起こっています。場合によっては、派遣会社のマージンが惜しくて、それすらできない会社もあります。社内研修や仕事の振り分けとそれに見合った報酬があればそれも良いのですが、多くは年功序列の旧態の場合が多いのです。逆に派遣を上手く使う会社は、仕事の本質や休暇制度、福利厚生が良く分かり、人材も成長し企業競争力も高いのです。
今は正社員、とくに中高年が余り、AIがますます仕事を奪う時代です。とりあえず新卒を雇い長く勤めれば高給になるメンバーシップ型の雇用ではなく、能力やスキルに優れた派遣社員をピンポイントで雇うジョブ型雇用の方が経営効率はいいのです。しかし、日本ではまだ終身雇用的な就職も多く、正社員の年収が800万、派遣だと400万下手すると200万などということで、それほどのプロ級の契約型の社員も実際にはあまりいないのです。当面は正社員が派遣に負けずコツコツとスキルを磨き、貢献してもらうしかないのです。
可愛いママさんがバリバリ働く時代 働き方の変化 – 天使の星座 (seizafpkotodama.com)