整備新幹線4 前代未聞の孤立新幹線

 1年ちょっと前の2022年9月華々しく開通の西九州新幹線です。しかし実は全通までは最悪の情勢で孤立新幹線のまま放置されそうなのは、鉄道ファンや地元以外ではあまり知られていません。そう延伸ではなく、西九州新幹線の場合は、長崎と佐賀県武雄温泉まで開業し、その先九州新幹線と合流し博多に向かう新鳥栖までの区間が未着工で、孤立したままで残っているのです。
 かつて鹿児島への九州新幹線も暫定的に新八代~鹿児島中央間が先行開業し、在来線特急とリレーする時代がありました。それでも全線開業はほぼ予定通り7年後でした。西九州の佐賀県部分のリレーは部分開業から1年過ぎても、工事どころか正式なルートさえ未確定で、全通の目処はたっていません。
 部分開業は佐賀県武雄温泉から長崎駅までの60㎞あまりの日本一短いフル規格新幹線です。5駅ありますが、昔の東海道新幹線なら2~3駅程度での距離です。本来は博多からの九州新幹線が新鳥栖で分岐して県庁の佐賀を経て武雄温泉経由で長崎に向かう予定でした。ところが、在来線直通のフリーゲイジトレインは頓挫してしまい、そもそも50㎞程度の佐賀と福岡も在来線で十分で、佐賀県に負担の割にメリットが少なく、長崎に行く通過の方が多いのに両県が同じ負担というのは、ある意味問題がありすぎなのです。
 ここでも北陸新幹線の場合と、形は少し違うけれども本質はよく似た課題です。あるいはリニアの静岡県の問題とも地元反対という意味では似ています。
 やはり、地元負担や並行在来線問題の整備新幹線の硬直したルールが足枷になってきます。
 北陸の場合と違い、ゴールである長崎まで新幹線は開通しながら、ハシゴ外しではないですが、そこに至るルートが繋がらずに孤立新幹線を産み、新幹線網としては態を成していないのです。その状態がこのままでは何十年も続くのでしょう。

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