
たまたま私も同窓会の企画や同級生の訃報やらでタイトルが気になった本をソッコウ読み。(約35分)
「宝くじで1億円当たった人の末路」という本で当てた著者だそうですが、日経BPによくある少し論点をずらした面白ネタで興味をひくものの、正直大した内容ではありません。
年代も少しフィットしずらい部分もあるのですが、同窓会に行きたくなくなるとか、開催しにくくなるという時代背景を説いています。
私は景気、経済情勢とかだけではなく、いつの時代、どの世代にもある程度共通していて、バブル崩壊後にこの「症候群」が広がり出したということはないと思うのです。
同窓会に行けない理由として①会社で出世しなかったから②起業して失敗したから③「好き」を仕事にできなかったから④「仕事以外の何か」が見つからなかった の4つが論じている内容です。
自殺者の鉄道事故の賠償、フランク三浦のはじまり、テキヤのミドリガメの例は確かに面白いですが、本論からは脱線しています。つらつら現代の日本社会と関連付けて分析しているのは少し強引な印象です。
「同窓会をやりたい、多くの懐かしい友人にあって生きてるうちに語り合いたい」同年代の有名人の訃報やら、兄弟、友人そして自分も老いていつどうなるかわからない年齢にさしかかると、私たとの世代にもそういう思いが募る人も少なくありません。
「自分が一番のびのびと輝いていたのが、やはり学校だし、あの頃の友人が気を遣わずウマが合うはず」
ところがそんな良いことばかりでもありません。
結局は、自分の「立ち位置」を確認するのが最終的な目的であり、最初から明白に分かってる人はあまり参加したがらないです。
ネットで調べると、本以上に汚い言葉で同窓会を非難する声も聞けます。主催する側に悪意などないし、手間をかけて苦労しても裏で恨まれ、妬まれるから気をつけないととも思います。
この本とは関係ないですが、恋愛小説やミステリ、ホラーでも同窓会は恰好の題材です。
昔憧れていたとか、やけぼっくりに火がつくような、復縁や不倫も間々ネタになります。カーストの下層だったいじめられっ子は復讐の機会をうかがうとか、ミステリにはありますが現実は参加しないでしょう。
むしろ学校時代に上にいた人が、ちょっと下か真ん中ぐらいの人に抜かれた妬みの方が動機にはなりそうです。
実際一番「同窓会」で困るのはメンタルだと言われています。最初から参加しない人はそれで良しですが、暇で何とかお金を工面して背伸びして参加し、なまじ自分の「立ち位置」が分かった時が危険だとされます。懐かしいイベントが終わったあとに来る言い知れぬ虚無、平凡な日常と敗北感のようは寂寥に耐えきれないのです。
この本の内容の中には、同窓会に参加できるような人生をと指南している部分もあります。
勝ち負けがついた人生の比較で勝つ方に回れというのは、もはや無理なので必ず負ける方もいるのです。
同窓の集まりなので懐かしむ思いはさまざまでしょうが、友人と集うのであればすでに経過した過去ではなく、今の時間を楽しむこと、これからの時間に希望を持てるような気づきができるものだと良いと思うのです。
“書評:「同窓会に行けない症候群」(鈴木信行)とは、はて?” への1件の返信