近江鉄道 近江商人の里を走る

 近江鉄道は滋賀県を走るローカル鉄道で、路盤や線路が脆弱なのか老朽化もあり電車がガタンコトンと揺れるため『ガチャコン』の愛称で地元に親しまれています。
 新幹線駅のある滋賀県北部の米原駅から彦根を経て滋賀県のびわこ線からは離れた湖東平野を走り、県南東部甲賀市貴生川でJR草津線、信楽高原鉄道と結ぶ、電化された90キロ近い全長をほこるもののほとんど単線でワンマン列車です。
 地元の買い物や通学、通院、通勤に支えられています。土日はスマイルチケットという1日乗り放題の切符を900円という破格な値段で観光客向けに売っています。片道でも元が取れる長い路線で、その他にも車両や列車でイベントやグッズを企画したりもされ努力していますが、残念ながら多くのローカル線のご多聞にもれず鉄道部門の赤字は厳しいようです。廃止や存続のための上下分離方式、自治体負担も検討されています。


 そんなローカル線ですが歴史は古く、明治33年には官営鉄道の東海道線にわずかに遅れながらも。彦根~貴生川間の主力の本線は開業しています。
 近江商人を描いた『てんびんの詩』の映画、昭和50年代制作で大正時代の設定で、すでに主人公が中学卒業時に大阪へ丁稚奉公に出る友人をえちがわ(愛知川)駅で見送るため話す光景があります。電車は出てきませんが、この時代の鉄道の重要性が分かります。
 近江商人の発祥の地で、出世した企業家のふるさとである現在の東近江市、日野市も結んでおり、この地に早くから鉄道ができたのも分かります。
 経営は昔から苦しく。堤さんが滋賀出身でもあり、西武グループの傘下に入りますが、車両の譲渡などもありましたが、基本的にはメインルートともいえる米原から京都や大阪に向かう高速で大量輸送の新幹線、東海道線にはかないません。湖西を高規格で特急も走る湖西線にも設備や車両では大きく劣ります。
 古い車両や駅設備を、近江商人の家訓の質素さのように使い続けています。
 愛知川や豊郷、五箇荘(写真)あたりでは新幹線がびゅんびゅん走る下で、長閑に1時間に1本の2両編成のワンマン電車を待つのでです。
 五箇荘には近江商人の屋敷などの街並み、豊郷にはヴォーリス建築の建物など、観光資源もあるのですが、いかんせんJR駅、新幹線駅も遠く本数も少ないので厳しいところです。
 駅舎の壁やベンチを町の人がキレイにしているあたり、本当に近江商人の節約や奉仕の土地だと痛切します。
 ごく一部の方が、構想されていた京阪奈線をなぞり、北陸新幹線の延伸問題の一つの選択として、米原ルートをその後、近江鉄道の地盤、信楽高原鉄道を経て、小浜ルートでの京都府駅の松井山手につなげる案を語られています。
 私は中止になった栗東新駅より、新幹線直下に駅がある五個荘駅が滋賀の第二の駅なら良かったと思います。
 北陸新幹線延伸米原ルートも東海道新幹線乗り入れではなく、近江鉄道路盤や並行した区間経由はなかなかのアイデアだとは思います。
 この写真、『五箇荘駅』、行き違いの2つの車両と、駅の向こうの高架橋を新幹線が走っています。
『てんびんの詩』の時代とはいずれにせよ2世代、3世代、隔世の未来がここから枝分かれするかもしれません。
 

近江商人の街五個荘町『てんびんの詩』が『ふてほど』にならないように – 天使の星座 (seizafpkotodama.com)

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