労働局での思い出

 あれから1年と思うと少しだけ感慨がありますが、まあ守秘義務違反が時効かとかいうネタバレの面白い話でもないです。
 現在は裁判所職員としての勤務ですが、1年前の6月は京都労働局でした。労働保険年度更新繁忙期臨時雇いで、バイトのような感じでひたすら入力などの作業中心でした。時給は良く、サービス残業などは監督官庁ですからもちろんありません。
 その前に3年間いた年金事務所は受付や接客対応もしていましたから、仕事としては私には時給の割には楽なもので、国家公務員の人や仕事を観察していました。
 守秘義務にあたることは、書けませんが、共通する話として今の裁判所でもそうですし、年金の仕事でも、マイナンバーカードの個人情報の扱い、デジタル化への遅い動き、印鑑を不要にした措置などへの、ドタバタした対応はどこも同じです。
 一律に思うのには、公務員のDXは第1フェイズで、スモールスタートとか言われ、言葉は巧みですが、結局はできそうな小さな案件をやってみて課題をさぐるだけで、「やっている」アピールをしているだけです。チャットGPTなどの生成AIをどんどん試行錯誤して進化させている民間との差は開くばかりです。
 肝心の大多数を占める難題となりそうな大きな改革は、先送りです。
 印鑑、いわゆるハンコをなくすといっても、三文判で通った簡単な本人サインOKの書類だけです。相続登記などに使う実印、社印は必要です。
 マイナンバーカードがあっても相続や年金手続き、破産手続きなどには住民票も必要です。所得や課税の証明、雇用保険など、連携していてもそれが必要書類だとなれば役所かコンビニで書類はお金を払って用意する必要があります。

 地方公務員と年金事務所で公務のことはある程度経験しましたが、国家公務員のDXの取り組み、キャリアプランなどの話は面白いものがありました。
 労働保険の仕事は毎年6月に更新があるため繁忙を極めて、臨時の採用をして乗り切りますが、機械化で残業やバイトは漸減傾向でした。
 一時的な短期間のものなので主婦のパートなど扶養の中での調整で働く方もおれば、民間の営業などは向かないニートな人もいました。
 確かにOCR伝票で入力するところは減り電子申請が増えてきましたが、法律が変わらないないため、手書きのものと電子データをプリントアウトしたものを穴をあけて綴じ紐で括りファイルにいれて保存し、5年立ったものは溶解に回す作業がありました。せっかくの電子なのでデジタル保存だけでもいいのにと思いました。OCR読み取り機械も老朽化して紙詰まりも多かったのですが、電子が進む中買い替えは投資がむだになりそうです。私は仲間に『こんな仕事は来年か再来年には縮小、無くなりますね」というと、「そうかなあ」寂しそうにされました。
 今年度は機械化も進み、残業も抑えられていると聞きます。裁判所に採用が決まり、「来年は来ません」というと残念そうでしたが、今年は募集があったかもわかりません。


 書類の保存など、公務員でない方が見るとげっそりすると思います。税金で倉庫まで借りている例は多いです。デジタルデータに比べ、大きなファイルや紐など事務用具も増えますし、人員も割かれ無駄なことです。記録の専門員も多くいます。
 どこの役所でも法律に縛られ、既存のルールを決めこだわります。
 守っていても何か問題があると、期間焼却でも責められ、紛失でもしていたら大騒ぎで非難を受けます。しかし、注目されない99%の書類は日の目も見ずに、何年もかさばり、期間がくればやっと焼却、溶解に回ります。もちろんそれが決め事ですが、福祉などの書類は増える一方です。
 倒産や生活保護などのエビデンスになる、銀行やカードの履歴はすでに電子データなのに、紙で出し直しますし、チャットのやりとりさえ紙ベースで保存となればいくらでも紙がいりますし、場所もとります。森林資源のためには早くどうにかしないといけないと誰か声をあげないものでしょうか。


 大企業のビジネスと役所の仕事の大きな違いは紙の量。
 それと建物などの経年でメンテナンスが悪いことです。公の金で華美なものも批判されやすいからとは言え、エアコンも古く廊下や階段、壁のあちこちに汚れがしみついています。毎日最低限の掃除は業者もするのですがどうも垢抜けないのがこういう役所の特徴です。建設された時は設計にもお金をかけ、展望ラウンジなどがある庁舎も中にはありますが、やはり経年での劣化、メンテナンスの悪さは役所の共通のものです。
 設備更新などの、費用がおりにくい、そもそもそんなものに手続きがめんどくさいのが残念な組織です。AIが人員を削減するといいますが、そういう関所みたいな人間がいらんのです。
 

 

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください