カネボウの元同僚の後輩には「井上さんたちの世代は上手く逃げ切れた、残った僕らは大変です」と時々耳にする。給与体系はそのままで責任の無い仕事に回され、出世の道がないのは面白くないようなのです。化粧品を売るならいいが、洗剤を並べるのはイヤだという話を未だに聞きます。
そういうものかと思う反面、化粧品だって重いものですし私なら「洗剤を並べるのもいいじゃないか」と思います。洗剤や家庭用品を学び、売る方を覚え、新しい世界を楽しめばと思います。
私は定年がもっと先なら長く花王傘下にいたかたtのです。旧来のカネボウではなく、花王での会計責任者の道は狙っておりました。50歳を過ぎ、志願して「未来セッション」や「アカウンティング研修」という若手の会計責任者の教育を、最年長かつ外様のカネボウから選抜され受講しました。
花王とカネボウは最初は対等合併のようなたすき掛け人事もありましたが、徐々に吸収され支配されたような扱いになっていきました。本社でも、販売現場でも中高年や若手も管理職への道は遠いものになりました。
カネボウ人事もたすき掛けでだす人材が年功でもあり、まともな人間がいないのですからそんなものだと気付かれるのが遅いぐらいでした。
もちろん、私も下っ端ですからいろんな流れを後で漏れ聞く噂です。
しかし、残念ながら私の花王での会計への道は、カネボウにそっぽ向いたように花王の勉強ばかりしたので、最後は年齢で無理ではなく足元のカネボウ側の推薦が得られなかったので途切れました。
かくて、花王のIFRS会計、EVA戦略、DX推進、マイクロソフトTEMSを使ったコミニュケーションなどまで学んだのはもったいない話ですが、無駄になりました。私個人よりも企業側、花王にもカネボウにも惜しい話だと、勝手に自負しています。私にとっては、口惜しくもなくいい経験、勉強をさせてもらいました。
コロナ禍の対面販売縮小、テレワーク、ブランドの統合なども5年前にみていた未来です。
別に「不思議」が起ったのでも何でもないことに、あたふたする社会、驚いている同期や後輩が何だか哀れなほどに見えました。
花王の戦略がいいとか好きとかではなく、そういうものなのです。給料もらうならそれに従うだけのものです。
カネボウの人達にも私などより、もっと優秀で頑張れる人はいたのでしょうが、結局企業の病、宿痾のようなものに犯され、多くの中高年や無気力な若者と同じように、負けたと思った瞬間に努力することを諦めたのではと思います。
だからこそ情けない、今妬みと嘆きで不平不満、文句ばかりいいながら居残る人は、元々「カネボウ」にだけいて化粧品を売るためだけの人生だったのか、慣れた仕事を続けたいだけならどこの大手企業も甘くはないのです。まして事実上倒産の会社、リストラされそうな人材は覚悟を決めて備えて努力しないと、仕事すらないのは当たり前です。この事実を受け容れられない受け容れたくないと思う時点で進歩が止まるのです。
幸いに会社に不祥事もない会社だったとして、それで幸せかというと、結局そういうものでもないのです。