使い捨てられる傘

 雨の季節なので傘の話題ですが、日本は雨が多い国ということもありますが、世界一傘を生産して販売している国です。これは人口比では圧倒的に多く、消耗品ではないのですが、成人一人より多い1億3千万本の傘を販売しているそうです。
 その6割以上はビニール傘で、年間8000万本消費され、もはや使い捨て感覚で購入している層も多いようです。
 コンビニに勤めていた人に聞くと、コンビニで忘れ去られるというか、気にしないで置いたままになるビニール傘といいうものは物凄い数になるようです。大型のゴミのステーション用コンテナが満杯になるほどですから、ある意味すぐ燃えるゴミになる弁当などの食料品系の残飯ゴミよりも廃棄に困り性質(たち)が悪いのです。
 私の勤めていた会社や役所でも,ルールを決めて処分しているところ以外では、とにかくどうでもいい誰のカわからない不潔な傘が溜まります。いざとなると傘立てが満杯で使えないというぐらいになります。
 梅雨時や真夏は出かける時晴れていても、急な雨にあうことがよくあります。しかし、大金持ちならいざ知らず、税金や物価が高いと言いながら、コンビニで傘を買う贅沢というか浪費をする人の多いことには驚きます。そもそもお金持ちやファッションに敏感な人は、しっかりした機能、デザインにすぐれた傘を持ち、安っぽいビニール傘は持たないでしょう。
 コンビニの少ない田舎や、30年~40年ぐらい前の日本ではまだ、傘は使い捨てのようにポイポイとされていませんでした。靴下と同じように、破れれば繕い、骨を修繕したり交換したりして使い続けていましたし、どこかに忘れたとなれば必死で探したものです。
 急な雨で傘が無いとか、忘れると、駅前まで家の人に傘を持って迎えに来てもらう光景もありました。本当に家の人も来ないと誰かと相合傘でということもありました。
 今は相合傘も死語に近く、お迎えの微笑ましい光景も、見かけることもありません。
 こと傘に関しては、直したり、失くさないように大事に使う精神がなくなったのは残念なことです。
 「またコンビニで買った」などとお金をどぶに捨てる自慢をしてないで、夏などは置き傘や折り畳みを晴雨兼用で持つなど少し考えればできそうなことをやらない人が多いのは何なのでかと思います。
 賞味期限の過ぎた食品、靴下や下着なども丈夫でも一度破れれば終わりで捨てられます。
 スマホはじめ家電なども値段の割に保証期間を過ぎると壊れやすいのもが増えて、新しいタイプが推奨される時代です。
 社会の多くの人が使い捨ての割高にシフトした結果、結局実質の可処分所得は少なくなり、多くの人の生活は貧しい時代になっているのではと思います。

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