セカンドキャリア、セミリタイア後の充実

 人生には多くの選択があり、重要なターニングポイントを経験します。多くの人がその時に間違った経験をしないかとか、間違ってしまったのかと悩みます。
 若い時でもそうですし、多くの人は高齢に足を踏み出し、定年や継承でセカンドキャリアやセミリタイヤを迎える時、「何をしようか、何を選ぼうか」と戸惑います。
 多くの人が、学生から就職して社会人になって、それほど多くの会社や業界を経験はせず、一つか二つを勤め、あるいは家業を継ぎ、還暦を迎えリタイアの時期を迎えます。多少の趣味はあっても、綿密に組んだライフプランの無い人が悩むのも当たり前です。
 
 意外と参考になるのが、アスリートのセカンドキャリアではないでしょうか。若いうちに契約金や高年俸で、収入が高かったスポーツ選手も、身体の衰えで30代後半かせいぜい40代にはリアイアを迎えます。メジャーリーグぐらいまで行けば、年金で楽に暮らせますが、日本ではよほど現役の収入を貯めこんだ人でないと、別の仕事を見つけないと食べていけません。
 指導者やアナリストになれるのは、一部のトップクラスですし、その椅子も少なく競争が激しいものです。第二新卒として始めるには年齢も中途半端ですし、事務などのスキルももちろん身につける余裕はなかったはずですから、先輩やコネがないと現実には厳しい就職活動が待っています。
 ちょっと前に綾野剛が主演のドラマ「オールドルーキー」というそんな就活を描いたものがありました。
 サッカーしか知らなかったいなかった元プロサッカー選手が、引退後の道(セカンドキャリア)を模索していた中で出会ったスポーツマネジメント会社で現役アスリートの代理人やマネジメントを行いつつ、自分のことを誇りに思ってくれた娘たちのために現役への未練やプライドを捨て、奮闘していく姿を描くものでした。監督やキャストも、スポーツ監修も優れたなかなかドラマとしても、しっかりしたものでしたが、代表クラスまで行った選手が別の職種という難しさは身につまされます。

 まして普通の会社で、長年勤め「部長」「課長」「支店長」をしていましたと誇っても、MBA取得とか、英語や会計、パソコンなどが人並み以上できなければ、別の業種ではただのおじさんです。

 現実にアスリートのセカンドキャリアを見ていると、業界で細々コーチや解説の席を守っている人と、スナックやら水商売、運動具店などの自営も多いでしょう。残念ながら、失敗やしくじりの例も多いようです。

 成功してる方で、少し変わったところで、私と同い年1959年生まれの元プロ野球選手に、大洋ホエールズ(元横浜DeNAベイスターズ)読売ジャイアンツで俊足好打の外野手として活躍した屋敷要(やしき・かなめ)さんがいます。私はパリーグの球団のファンで、名前だけは知っている程度で当時も原辰徳や掛布、岡田、落合などが有名ぐらでセリーグの球団なのでよく見ていません。高木豊、加藤博一と俊足の、1~3番を組む外野陣でスーパーカートリオと名は馳せていました。
 その屋敷要さんが、指導者解説者を少し経験した後、子供の頃には興味があったものの、現役時代は縁のなかった、鉄道、蒸気機関車の写真に魅せられ、撮り鉄型の鉄道愛好家としてメディアのに登場し、いまや「元野球選手の、」という前説の肩書は要らない、評価の厳しい鉄道ファンからも認められた、屋敷さんの楽しそうな仕事が見られます。カメラも一流になり、真摯に打ち込まれたのが良く分かります。

 もちろん、現役の延長戦というより、その知名度を生かしたビジネスを拡大しているサッカーの中田英寿、本田圭佑のような例もあります。また女子アスリートもその容姿やスタイルを活かし、女優やモデル、タレントの転身したり、やはりビジネスで成功している例もあります。自分の才能、能力を良く見極めて人生設計している姿ですが、ここまで常人は少し真似できないクラスになります。

 還暦過ぎてからのの就職、生き甲斐の持ち方はよく似た難しさがあります。よく聞く話が、先ほど書いたように、職場では管理職や役員まで上がった人が、降格でヒラのような仕事で定年延長や再雇用の待遇を嫌がり、別の仕事を探そうにも高齢ではとても雇ってくれる職場もこなせる仕事もありません。
 そもそも「一兵卒」「雑巾がけ」でプライドを捨ててやる覚悟と、前の仕事をしながらもやりたかった仕事へのスキルや知識がないと、好条件のヘッドハントなど増してありません。
 幸い、子育ては終わり、マイホームのローンも終わり、退職金や年金である程度の生活基盤が見えればそう焦らないで力を抜いて、子供の頃の夢、若い頃やりたかった頃、残りの人生やりたいことを見つけることです。
 未経験の仕事を教えてもらいながらするのですから、雑巾がけから始められることに喜びを見出す謙虚さは要ります。
 横を見れば、同い年の中には、まだ定年がなく70歳以上でも高収入で働き続ける人もいるでしょうし、すでに年金生活でシュリンクした暮らしの人もいるでしょう。どちらをやっかむとか、性悪,是非はありません。他人の人生を羨んでも、やっかんでも他人にはなれません。未だに引退できない人も30歳で引退した人も、苦しむも楽しむも似たようなものです。
 一つの仕事、業界を貫き生き通すのも良し、またいろんな経験を楽しむのも良し、早めにリタイアするのも良しです。
 それぞれ、自由ですが、私は人生いろいろ経験して、この年でも雑巾がけ、一兵卒から始められるのを喜びとしています。
 それにはとても深い意味があります。


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