メーカーには再販価格決定権はない?

 【報道】(朝日新聞デジタル)カップ麺業界最大手の「日清食品」(本社・大阪市)が、スーパーなど小売店向けのカップ麺5品目で小売価格を不当に引き上げさせていたとして、公正取引委員会は独占禁止法違反(再販売価格の拘束)の疑いで警告する方針を固めた。物価高が続くなか、販売価格を制約しないことや再発防止策などを早期に求める。

 関係者によると、警告の対象は、カップ麺の主力商品である「カップヌードル」やシリーズの「カレー」「シーフードヌードル」のほか、「日清のどん兵衛きつね」「日清焼きそばU.F.O.」の計5品目。日清食品ホールディングスは取材に対し、「公取委から調査を受けているのは事実で、誠意をもって調査に協力している」としている。

日清食品はカップ麺や袋麺の希望小売価格について、2022年6月に約180品目、23年6月に約170品目で5~13%引き上げ、「カップヌードル」(78グラム)は2年間で税抜き193円から236円に上がった。 このうち5品目について、同社は全国のスーパーやドラッグストアなど小売店数百社に対し、値上げ額を指定して小売価格を引き上げさせていた疑いが持たれている。(以上報道抜粋)
 

 物価を上げ、賃上げをするの国策に従っている面もあるのですが、ここへ来てこういう形で公正取引委員会が動き、シェア40%を超えるプライスリーダーになり得る最大手が摘発されるのは、筆者の想像ですが何か裏があるのでしょう。
 洗剤、日用品の最大手、化粧品の業界2位のメーカーでマーケティングや企業取引をやっていた経験からも公取委とのやり取りは微妙で、阿吽のものです。タテマエ論が、まかり通る世界です。再販売価格は特定商品を除き、価格の決定権は流通、スーパーなどの消費者に売る業者が握っています。
 とはいえ、花王の商品もカネボウや資生堂の化粧品も大安売りされることはあまりありません。過当競争で業界が乱れすぎると、品質の低下など消費者が結局損をし、危険な場合もあります。とは言え、この物価高の時代やり玉にあがり、不満のはけ口ともなります。

 さきほど、タテマエ論と言いましたが、今回、テレビや新聞などのマスコミは一斉に公取のリーク(?)を受けて、日清の価格指示批判をしています。しかし、「〇月から〇〇が値上げします」ってニュースここ数年しょっちゅう、そのマスコミがやっています。あれは逆にメーカー主導の業界べったりのニュースで、正確には「メーカーが卸価格を〇〇円上げるから、一般市場で市民が買うのは〇〇+〇円になります」という話で、メーカー情報をそのまま報道して、全部のスーパーなどの対応情報を取材するわけではありません。だいたい、卸価格に対しての販売価格などは決まっているもので、それを1品ごとに設定していたら流通も大変な作業ですから、100円の卸なら140円で売るとか、幅が決まっていないと利益が分かりません。マスコミ各社もそんなことは分かっての大人のタテマエ論です。
 価格全体が上がれば、多少利益を犠牲にしても目玉を安売りする、一部の流通が出てきて、その独善を抑えたいというのは常に流通にあります。あんまり、ぐちゃぐちゃ乱売するところとは協力しない、そもそも取引しない。かつての松下電機(現パナソニック)と中内時代のダイエーのような抗争になるのです。
 一見、消費者側が正義かのようですが、日和見のマスコミや、何を基準にいきなり責めるのかわかりにくい公取含めて、何が正しいのかは難しいところです。
 メーカーとくに大手がブランドの価値を守るため必死です。自分たちの聖域の、利益であり、社員の給与、次の開発力や品質の維持もそれにかかっていますから、悪いことではありません。
 私にはマスコミが、ヘボな解説をつけるものの、タテマエといのかご都合主義に見えます。

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