京都市内というと、今は年中観光客、外国人も増えて、神社仏閣も歳時記も分からずに映えるスポットにだけ夥しい人が集まっています。
祇園祭が過ぎると。本来京都は静かになりお盆で先祖を供養する準備をする時期です。
’京都では「六道さんまいり」と呼ばれる盂蘭盆を控え8月7〜10日の期間において、精霊(御魂 みたま)を迎えるために「六道さん(六道鎮皇寺)」に参詣する風習があります。 別称を「精霊迎え」といいます。
「六道」とは、仏教の教義でいう地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人道(人間)・天道の六種の冥界をいい、人は因果応報により、死後はこの六道を輪廻転生する(生死を繰返しながら流転する)といいます。
この六道の分岐点で、いわゆるこの世とあの世の境(接点)の辻が、京都市内の東山区、花街の宮川町から松原通に入り、東大路へ続く、上りの坂を少し過ぎたあたりが「六道の辻」とされ、冥界への入口とも言われています。
「六道さん」で先祖の霊を迎えるために「迎え鐘」を撞きます。そうして、眠っておられる先祖の霊を起こすのです。そうやって呼ばれたご先祖の霊は「お精霊さん」で、「精霊迎え」と言われる所以です。槙の葉に乗ってあの世から帰ってくるとされ、境内で槇の葉が売られています。
お盆の間、仏壇に槇の葉や野菜、精進料理をお供えして、里帰りご先祖様とわずかな間、一緒に暮らします。「お精霊さん」は16日の送り火によってまた冥界に帰られるわけです。
今は大文字をはじめ五山の送り火だけが、夜のイベントのように賑わいますが、精霊迎えがと対を成すのが送り火なのです。お盆の神聖で厳粛な行事で、ホテルのラウンジから飲食しながら眺めるのは本来違うのです。
今年の大河ドラマでも出てきましたが、平安京の東の墓所であった鳥辺野に至る道筋にあたり、この東山松原あたりで「野辺の送り(のべのおくり)」をされたことにより「六道」冥界への入り口が定説となりました。
昔の方の方が、仏教を信じ、先祖を敬い霊界を信じ霊的な力が強かったのかもしれません。