夏草ボウボウと有蓋貨車みたいな待合、決して廃線跡ではありません。
3セクですが、山陽新幹線に接続する駅です。
新幹線が通れば街が活性化すると思われるのは十分条件ではないようです。
新しい新幹線やリニアがいつできるとか、早く自分の街に開通して欲しいとか、乗りたいという人もいるでしょうが、なかなか次はしばらく難しいのです。
まだ整備新幹線、並行在来線などの問題ができる前、初代のひかりが走った東海道と山陽の新幹線も、すでにそれぞれ60年、50年と経過していき、大盛況の影で一部は負け組の結果が出たような駅もあります。
整備新幹線のように線路建設には自体は自治体負担はなくとも、請願駅と言われる一部自治体負担駅でも、駅の場所や、在来線との接続も問題がありがちですし、のぞみの停まるターミナル駅ではないと街はずれにこだま停車駅を作っても恩恵は少なかった例も意外とあるのです。
それ以前の課題として、新幹線は短絡新線を使います。速度、到達時間を優先するため、既存の駅に無理に沿うためにカーブしてルートを決めいちいち停まってられない事情もあります。
写真の奥の高架駅は、山陽新幹線新岩国駅で、手前の草ぼうぼうのホームは新幹線駅から徒歩5分の第三セクター錦川鉄道新岩国駅です。
【新岩国誕生の事情】
新岩国駅は岡山~博多開業当初からの駅です。徳山と広島の中間で、観光名所の錦帯橋もあります。既存の山陽本線岩国駅に作る案、岩徳線西岩国近くの案もありましたが、急カーブも必要な上、距離が長くなり、市街地で用地買収も難しいため、車両基地も併設できる広大な土地のある御庄地区の現在の場所に決まりました。
近くに岩日線御庄駅がありましたが、岩国と新岩国駅は同一駅扱いですが、御庄駅はJR時刻表の乗り換え標準時刻にも載らない、近くにある駅扱いで、鉄道ファンにも謎でした。今でも新幹線の接続は悪いですが、3セクになって錦川鉄道清流線、清流新岩国駅とされ、連絡通路や案内表示はできました。接続は良くないので長々待ったのがこの写真です。JRになる時に、新幹線接続駅にすると岩日線を赤字でも引き受けないといけなかったから、接続駅にせず切り離したとも言われています。
何より放置されたようなホームのメンテナンスの悪さです。哀愁はありあすが、草生した廃線跡の駅のようです。
しかし、新幹線の新岩国駅にも課題は多いです。50年も経とうかという経年劣化も、観光地から微妙な距離の難しさもあり、設備面も古く、ショップもほとんどなく、食事もままならないし、トイレや待合室も古いままです。山陽新幹線で最少クラスの乗降客の駅ですが、これが地方の中心からは少し離れたローカル駅の実情です。
請願駅では、新倉敷駅、新尾道駅、東広島駅、いずれも既存路線との微妙な距離と観光客集客とのズレなどで似たような苦しさを味わっています。東北や上越、北陸、九州などにも似たような事情で、成功した町の駅と、失敗のケースがあります。
新幹線、主要幹線とローカル線と、上手い接続、連携を行い、町全体がデザインされ、人を呼び込み活気を産まないと意味がありません。
JRや鉄道会社全体もまず本業で儲かる仕組みが必要で、それにプラスしてホテルやショップ事業を推進するべきです。