NHKドラマの功罪

 戦争や忘れかけていた歴史を思い出させ、しかも役者も頑張って、よく作りこんであります。そういう話はやはりNHKでしかできないし、民放や今いきおいの配信でも映画ですら難しい企画、内容のドラマです。
 8月の原爆投下や終戦記念日近くにも、サムネ写真のようなそういったドラマやドキュメントを放映します。また若手の人気俳優が主演する朝ドラでも、女性の半生を描く関係で戦時下が描かれることも多いです。
 今放映中の「虎に翼」は女性初の弁護士、裁判所長を描く意欲作で好評なようですが、そこでも主人公の夫や家族の戦死や、空襲の場面も描かれていました。昭和の疑獄事件から、戦時下を経て、新憲法公布、原爆裁判、安保闘争、男女平等、と法曹界をとりまいた、さまざまな歴史を上手く描いています。
 NHKでは朝ドラと並ぶもう一つの柱、戦国時代などの歴史を1年かけてやる大河ドラマの方も、今年の「光る君へ」は好評のようです。
 戦争モノでさえ、70年ほど経過で事実がどうかわからなくなっていますから、平安時代など創作部分も増え、会話も現代風です。細かい歴史認識とかをあげつらっても仕方ないのですが、歴史を都合よく変えることは、やはり視聴率の高いNHKだからこそやってはいけないのです。

 NHKがフィクションのドラマとしてやっても、歴史や時代背景からモデルはいるとされます。
 また実名で登場したり、よく似た仮名など、実際の人物とともに報道される場面があったりすると、NHKがやっているから「これが歴史なんだ」「この人はいい人物だった」ということが刷り込まれます。一人の業績や、一つの事件の背景には、諸説ある場合があっても、ドラマのストーリーの中で都合よく主人公とからむため、悪意はなくとも曲解されたり、美化されたりしていくのです。
 保守の方から見てNHKの報道姿勢に不満が多いのもありますから、戦争の描写はとくに問題はあります。しかし、それをためらってばかりでも、歴史を描くことはできません。「諸説あり、両論併記、製作者の見解」というスタンスをよく理解してもらうような姿勢も必要です。
 まして、視聴率のためや個人の好みや私腹を肥やすために出演者を選択したりするドラマ、業界を築いた偉人であっても、一民間企業の経営者をモデルにして結果として大きな利益を与えるようなドラマは、公共料金を使ってはいけないでしょう。
 

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