書評:米澤穂信「可燃物」 本格短編!

 昨年2023年の各社ミステリランキングトップを独占した米澤穂信の秀作短編集です。なかなか読む機会というか、リクエストからお時間もかかり次の「このミス」の時期、2024年秋になってようやく手にしました。
 一部の方には「古典部シリーズ」「小市民シリーズ」のアニメ、漫画の方で知られている作者ですが、ミステリランキングでもトップを通算3回、上位ランキングも数えきれないほどの実力派のミステリ作家です。アニメ化された優れた人気キャラもんでいますが、今回の短編集は群馬県警1課の警部が主人公の地味な刑事ものです。
 キャラクターによるリーダビリティはないですが、本格の「謎」の導入部から、捻りの効いた結末と、リアリティのある事件の背景の人間模様と、松本清張時代の秀作短編のテイスティ、横山秀夫さんのリアルさもあります。

 キャラクターファンにはやや付き合いずらい面があるのかもしれませんが、読みやすさと、知的パズルとしての満足感、完成度は良いです。

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