ホワイト化のしわ寄せが管理職へ?

 日本の企業の深刻な国際競争力の低さ、公務員の非効率の原因が、この本などに書かれる「管理職の人気のなさ」に集約されているのではと思います。

 正確には管理職、経営陣へとつながる労組構成員でも主任クラスの管理職手前の人も含め、出世への意欲がなくなるようなブラックさが目立っています。
 管理職がハンコだけついて、ふんぞり返って高給だったのは今は昔です。昭和の末期に学卒で入った私らの世代や少し上の世代は、「何とか課長になろう」そのために若い時期に無理してでも頑張ろうと、同期と誓い励まし合い、刺激し合ったものです。
 今の世代にそんな気概はありません。冷静にそんな構造が経営者の搾取、罠だと思っています。
 新入社員や平社員には初任給を世間並にして、残業もさせず、させても手当を支給して、有給も産休や育休も取れてブラックでない職場になりつつある世の中で、そのしわ寄せが全ていくのが管理職とその手前の層です。
 この本の要旨としては、
 働き手からすれば、もはや管理職の仕事は「罰ゲーム」に近い。
 経営者や人事部門は「管理職の負荷が高いのは、管理職自身のマネジメント・スキルが足りないからだ」という体育会系「筋トレ発想」に陥り、管理職研修に頼ろうとしている。だが、これは逆効果だ。
 管理職の「罰ゲーム化」を修正するためには、フォロワーシップ・アプローチ、ワークシェアリング・アプローチ、ネットワーク・アプローチ、キャリア・アプローチの4つが効果的だ。
 という感じです。

 会社とか組織の仕事全体を俯瞰して、シェアなどを考えず、表面をとり作ってホワイト化に見せかけるから、こういう歪みが生じるのです。

 公務員でもそうですが、管理職の給与の伸びを高く設定しないので、管理職の手前で長年いた方が、楽なのに残業代が入るなど手取りは変わらないし、ご祝儀やお付き合いで出ていくものも少ないとなればなおさらです。

 誰でも楽で収入がそこそこなら、無理して管理職になろうとしないので、優秀な人材が管理職になりたがらない悪循環が顕著化しているようです。

 何だか、いかにも日本的な話で残念です。経営陣や公務員幹部に読んで欲しい本です。

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください