大志を抱け 青春18きっぷ改定に寄せ

 先日、2024年10月24日、JRグループは冬の青春18きっぷの発売について発表を行いました。夏の発表が少し遅れ、冬の予定を同時に発表しなかったので「廃止か?変更か?」と心配されていました。ネット上では、青春18ファン、マニアからも改悪と騒ぐ人も多く、賛否分かれています。

【変更点】
 この冬シーズンから青春18きっぷは自動改札利用ができるようになるものの、「連続する3日間用」と「連続する5日間用」の2種類の販売に変更されます。これまでの青春18きっぷは、春・夏・冬休み期間中の任意の5日間(飛び飛びでも可能)で利用でき、複数人でのグループ利用もできましたが、今回の改正によりグループ利用は不可となります。販売価格は3日間用が10,000円、5日間用が12,050円となります。「狙いは時代の変化に合わせて対応できるようにすること。駅の体制なども変わってきている中で自動改札機を通せるようにリニューアルした」と説明しています。

【改悪と言われる理由】
 3日間用ができたとはいえ、夫婦や友人とシェアしての利用ができないのと、5回分を期間中の何週かに分けて「今日は天気がいいから行こう」という気ままな旅はできなくなります。
正当な青春18切符の旅の使い方とは、少し外れますが、長距離通勤の定期替わりや、帰省やレジャーで5日以上の長期の滞在になる場合も往復利用には使えなくなります。

 自動改札の性質上、1枚の切符での複数人利用は難しいのは分かります。また飛び飛びの日にちを判断するのも自動改札では難しいそうです。ニーズを加味して3日間用を作ったそうですが、秋に8000円台で発売されていた同種のJR乗り放題切符より割高です。
 金券ショップ利用者は、元々5枚券が少し安く買えたり、余りの券のやり取りもしていました。日付指定で販売される以上事実上持ち込みも購入もできなくなります。
 土日しか休めないとか3連休がとりにくい仕事の方、学生でさえそう簡単に家を長く空けられないと嘆きの声があがり、若い世代からも、高齢者、鉄道ファンそれぞれ不満は出ています。

【良い点もある】
 自動改札のメリットは、JR側にも混雑対応や不正乗車防止ができます。18切符利用者もそもそも繁忙期に有人改札にインバウンド外人とともに長蛇の列に並ばされ、待たされることも無くなります。
 観光客が増えてきた現在、土日を中心に普通列車が混雑しすぎるのも、大きな弊害でした。駅員も減る中での18切符期間の対応は、どう見ても大変で効率に悪いものでした。18キッパーもゆったり旅をして車窓を楽しむぐらいはしたいのに、タイトでギッシリの満員電車では、「旅」そのものが面白くなくなるぐらいでした。多少なりとも、連続券使用だけにして曜日を分散する効果はあるでしょう。

 トンネルが多く高速で走る新幹線や、やはり駅を快速で駆け抜ける特急利用より、時間はかかるが車窓を楽しめるのが在来線普通列車なのです。あまりに青春18利用で混みすぎでは、時間はかかり座席も満員で苦行でしかありません。苦行みたいな空間に乗るだけが好きな変人以外、まともな利用者には敬遠されているのがこの時期の特に幹線の普通列車でした。

【企画切符はルールを知りゲームのように楽しむ】

 私の学生時代はまだ青春18切符なありませんでした。国鉄の旅は学割周遊券がもっぱらでした。急行の自由席なら区間までの行程に乗れました。特急や寝台もプラス料金をすれば乗れました。のちには北海道内は急行ばかりではなく、特急も自由席乗り放題になりました。
 北海道ワイド周遊券などは冬期間発売の割引があり、学割と合わせて冬期間ギリギリの5月に買って7月の旅に使ったこともあります。
 乗り放題の企画切符は楽しいですが、自由席だと早めに並ばないと座れないですし、今だと全車指定の特急が増えていて、急行の廃止とともに隔世の感ですが。若い頃に企画切符を駆使して旅をする楽しみこそ【青春】の原点です。

 京都から北海道に行くのですが、友人に教えてもらったテクニックで、大阪発の切符にして、行きは大阪駅で並び夜行急行の自由席に座りやすくして、帰りは京都で途中下車にすると切符が手元に残していました。(実際には無効印を捺して貰うことができるのですが、駅員によって拒むめんどくさい人もいたとか)良い記念です、
 そういう面では、青春18切符のような旅をして、最後の1枚が余ったから金券ショップに売るとか、誰かが使いあまった切符を買うという発想、その神経がどうしてもわかりません。

 正規の5枚券を割引されるからといっても、たかがしれた1割程度です。1日分の残った1枚2枚をバラの5分の1価格で買うと、長距離を乗れば元は取りやすいのかもしれませんが、青春18の旅という趣旨とはちょっと感覚は違います。先に書いた通勤利用や、帰省などもちろん安いし、ルールでは違反ではなかったですが、やはり趣旨と違います。安いだけなら、高速バスやクルマの相乗りなどもあり、ましてそれを鉄道の企画切符に依存して「改悪」と非難していうのは筋違いです。
 金券ショップに関しても、わずかの割引のために、非正規ルートを使うのはやはり鉄道のファンとしては止めて欲しいことでした。カードのショッピング限度額を利用して換金させ、自己破産させる悪徳な人のやり方でもありますし、全部がその流れではないにせよ、それでJRが儲かるわけではないのです。正規の運賃での切符、適正な割引、企画切符が売れて鉄道会社の利益が出て、路線の維持ができるのです。金券ショップに売れてもJRは儲かるという考えは全く違うことが、今回も証明されています。鉄道ファンである以上、鉄道会社の利益に貢献していくのは当たり前のことです。

 いろいろなルールを理解して、守り、攻略してゲームのように旅を楽しむのが企画切符だと思います。あるいは企画切符よりも、正規の運賃を往復で使う方が便利で安い場合もあります。そこも知恵を絞ったゲームの攻略のようで考察するのが楽しいものです。
 お金を使いたくない、安い方がいいなら、旅をしなければよいのです。

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