年収103万?106万の壁とは

 国民民主党の政策を自民党石破内閣が呑むか注目される扶養者年収「103万円の壁」
 現状大きいのは「103万円」ではなく「106万円の壁」の方ではと思います。
 もちろん103万を超えると所得税が僅かずつかかります。しかし、それは超えた額に税率がかかるだけです。
 106万円を超える収入になると、従業員数が50人を超える企業で働いている者が、月8.8万円以上の所定内賃金を得ると被用者保険が適用され、社会保険料負担が発生します。
 今までは支払う必要がなかった厚生年金保険料が発生するので、手取り収入が減少します。手取り収入を維持するためには収入が125万円以上になるまで働く必要があります。ただし、将来、厚生年金をうけとることができるようになります。さらに医療保険から傷病手当や出産手当を受け取ることができるようになります。メリットもありますから正確な損得は難しいです。目の前の手取り収入が減るという意味では損であり『壁』です。ややこしいことに岸田内閣で支給を始めた社会保険適用促進手当が受けられるので、最長3年間は保険料負担が補填されます。雇用主にとっても負担が発生し、支払いたくない会社などは、さらに時間を制限したり解雇したりのケースもあります。これは「壁」の限度が増えた場合も同じです。
「130万円」は「従業員数が50人以下の企業で働く者が、年間収入130万円以上になると、配偶者の扶養から外れるため、国民年金の第三号被保険者から第一号被保険者になり、国民年金保険料が発生します。また、国民健康保険の保険料負担も発生します。将来の国民年金の金額は変わらないため、保険料負担の分、手取り収入が減ります。従業員数50人以下の企業で働く者にとっては大きな『壁』となっていますが、51名以上の会社などですでに壁を超えている人にはこの金額は関係ないのです。
 少しややこしいですが、いわゆる103万の壁は所得税がそこから少しずつかかるだけで、1万円あるいは千円超えたからと大騒ぎするほどではありません。150万円の方も配偶者特別控除が少しずつ減り、201万円でゼロになります。
 やはり大きいのは年金、社会保険料にかかる「106万円」OR「130万円」の壁です。これは壁を千円でも超えたら、目の前の支払いはイッキに万単位で増えます。
 ここが、労働時間、意欲の壁になり、最低賃金が上がればますます実質の時間は減っていたのです。

 ここの労働を壁を取り払って推進するので、そんなに悪いことでも何でもありません。主婦や学生などもリミットが上がって働き、その分社会に貢献し、経済は上手く回るのです。

 元々、最低賃金が上がればスライドしてあげていれば良かったと思えるくらい、当たり前の筋を国民民主党は主張し、自民は唸っている感じです。

 財源が7,8兆必要でと、財務省の言い分をそのままに反論する向きもありますが、場当たりで岸田内閣も社会保険適用促進手当を支出していますし、経済が成長すれば税収は増えますから正確なシミュレーションは実は難しいです。目の前の枠に決まった財源論だけで、余った時は何十兆と余剰が出て、還元するのに今年のように苦労しているので、今の税の仕組みはそう簡単に国は損をしない仕組みです。中小企業の社会保険料負担をもっと軽減してもいいとも思うほどです。

 年金の方も含めて、枠による財源と、国民や企業の全体負担のバランスを考えて、厚労省と財務省、政府が一体となって考えれば良いことです。数字を誤魔化して虚飾しても、国民の手取りは増えないのです。社会保険料を天引きして、今の物価で最低限の生活、現役の時からシュリンクしてやり繰りできるかを、庶民目線で考えることが政治(まつりごと)です。それが政治家、官僚の仕事であり、財源確保はそこがあってのものです。

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください