ちまたでは国会でも議論されだした「年収103万円の壁」問題が話題ですが、ここに鉄道ファンには「601キロの壁」というのがあり、どうやらその壁がなくなりそうです。
青春18切符のルールが改訂され、すでにこの冬分が発売され、マニアの間には嘆き節も良く聞こえます。そんな中で、またJRグループが廃止を決めた制度があります。601キロの距離を往復すると、いずれか片道が実質2割引き、往復を1割引きで購入できる。「往復割引制度」が来年度末目処の廃止となります。
同じく、連続した行程の2つの切符を一つにまとめる連続乗車券も来年度同時期に廃止になるようです。
昨年新幹線と特急の乗り継ぎ割引が廃止されました。
いずれも単なる値上げではなく、みどりの窓口削減で、ネット予約などオンライン推進や車掌の業務軽減化も大きな目的です。
のぞみや在来線特急で自由席を削減しているのも個の流れです。
デジタル化が複雑なJRの運賃体系に合わない部分が、削減されています。
JR各社は、オンラインでの購入促進のため、デジタルだと同等かそれ以上の割引、お得な切符企画商品を販売しています。
連続乗車券は条件がやや複雑で、値引きそのものはなく、切符の枚数が1枚になり有効日数を通算できるのと、払い戻し手数料が1枚になる程度のメリットなので、利用者も少なくとくに大きな影響もないでしょう。
往復割引は、影響は大きいです。元々往復すれば、全く別に買う場合や長く滞在する場合以外はそれが定価と思っていた人もいるでしょう。
実際には有効日数の確認など、計算上も煩雑になり、片道切符を持っていると、帰りの券を追加購入するのに応じる窓口対応など、いかにもアナログです。
実際私は、大阪~福岡の会社手配の往復の割引なし切符を現地で気づき往復割引切符にして、仲間と利ザヤを貰いました。会社の粋な計らいではなく、気づかずに往路復路で会社担当と旅行代理店がそのまま発行し、社内にも細かい規定がなかったか、見落としたのでしょう。最近はそんな見落としもなく、EX-ICとかで社用のものは、最安値で出てくるのでしょう。
それでも、601キロ未満の正規運賃と、わずかに超えたそれ以上の距離の運賃が逆転する問題は煩雑です。優秀なAIなら、安い方を自動発券しているかもしれませんが、本来のルールの「目的地までの切符」という趣旨から外れるのはおかしいことでした。しかも、ほぼこれが定価になるような設定ですので、デジタルの割引とはシステム上重複して適用されてしまう場合が多いようで、それを再度除外するのも難しいのが廃止の原因のようです。
この変な壁という、煩雑さ、「年収の壁」と少しだけ似ています。あちらは、壁の金額を物価や賃金とスライドしてあげるようですが、スッキリするのは廃止です。それだと困るといわれそうですが、扶養とかでの税制優遇が全く別の支給などで考えないと、壁はどこまでいってもその前後の不公平の矛盾をはらみます。
往復割引の恩恵は、ヘビーユーザーならポイント還元など、お試しユーザーにはバーゲン期間や企画商品の設定をするなどでいいのです。
マニア的にはつまらない感じもわかります。