今年の日本プロ野球(NPB)のタイトル、ベストナインやゴールデングラブの表彰式で、東北楽天ゴールデンイーグルスの辰巳涼介外野手が話題になりました。顔に金粉で全身金ピカを始め、ちょんまげの侍姿など計4種類のコスプレで関係者やファンの度肝を抜きました。
元々、野球センスが良く俊足で守備は上手い選手で、ゴールデングラブは4年連続獲得でしたが、今年は最多安打や最多捕殺のタイトルも取り、プレミア12の代表の3番でも活躍しました。阪神の近本選手の高校の後輩あたる兵庫県社高校出身ドラフトでは近本上位ながら、関西での知名度は劣っていましたが、成績も上げながらこのパフォーマンスで一気に注目も浴びました。
コスプレで目立つのは賛否もあり、当然伝統的な考えの関係者には顰蹙をかい、厳粛な式におふざけなスタイル批判的な発言もありました。しかし、試合ではない表彰式であり、黒っぽいスーツでないといけない規定もありません。
試合前のパフォーマンスで、もっとふざけた企画もたくさんありました。とくにパリーグは実力もさることながら、やはり人気で劣っていたため、新聞の1面をとるのに、いろいろアイデアを出してパフォーマンスをしていた時期もあります。
このド派手さに思い出すのは、Jリーグの第1回目のアウォーズのカズ、三浦知良選手の赤タキシードで、爆発からの登場です。こちらも、サッカーに対抗し、注目を得るため、得点後のカズダンスのパフォーマンスや、移動時のファッションなども、当時のプロ野球にないカッコよさをアピールしました。メジャー帰りの新庄監督も、現役時代含め、こういうド派手な登場やパフォーマンスで人気です。
批判をする人は、何か今までからずっと、黒いスーツで表彰式が行われたか調べてもいないでしょう。新参者が派手にやると潰したいという保守主義のやっかみです。
私も会社時代も、許される時代になると、ど派手な色のシャツで営業をし、営業部門の表彰式はピンクの麻のスーツで行きました。化粧品メーカーの表彰式に黒ばかりのスーツなどあり得ないと思いましたが、やはり反感もかいました。
今も昔も、新しいことを進め、伝統を破ろうとすると、
【法律や規定があってできないときもある。しかし、法律や規定があっても、現実には守られていない場合がある】
【法律や規定はないのに、暗黙の伝統のようなオキテがあり、保守主義の人が邪魔する】
【根回しが足りないと、何らのペナルティを無理やり適用され、潰される】
こんな工程があって、日本ではなかなか改革が進まず、GAFSのようなIT企業もうまれなければ、メジャーの野球や欧州のサッカーリーグよりも低い報酬で国内リーグが膠着し、労働者は今や低賃金のまま劣悪な仕事をしているのです。
近年は結婚式でもずいぶんカジュアル、奇抜な衣装でも楽しまれています。告別式でも、決して黒という決まりは特になく、戦前はむしろ白い衣装も多かったようです。
古典芸能のように、衣装や道具がしっかり決まっているものは、それを作り護る仕事も含めて伝統として保護されているので例外でしょう。個人が不利益になるとか不快にならないのならOKのものまで、規制してしまい勝ちなのが、日本の社会です。それ以外は逆に、決められていないことであり、暗黙のルールが負担になり、発展、伸長、拡散の妨げになっては社会が委縮してしまいます。
もっと、伝統と自由をしっかり分けて、変えるべき改革を早く進めないと国は衰えます。