書評:森敦「意味の変容」

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 やや難解な本とは言われていますが、理解しようとかいうより読むことを楽しみパズルをが解かれるのを見るようにするといいかなとも思います。
 光学機械工場、ダムの工事現場、印刷所…異色の職歴と放浪の作家、森敦の経験と思索は、日本文学史上例を見ない、奇跡的な作品を創造した。宗教的、哲学的、数学的な論述を透過しながら、本作は「比類のない私小説」といわれています。
 エッセイのような、書き散らしたような感じもしますが、哲学をわかりやすい図で表現したりしています。
 多くの作家や哲学者、論客にも影響を与えているようで、正直私も十分に理解して上手く説明はできませんが、何となく力が沸くとか元気付けられ、そういうものかという気持ちにはなります。
 1974年くらいの連載からの上梓で、現代なら編集者がもう少し関わって、垢抜けた分冊とかになりそうな気はします。当時から大物で、他の干渉を許さないくらいだったのかもしれませんが、だからこそ原型の美しさのようなものがあるのでしょう。

 
 

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