【年金】繰り上げか繰り下げか、損得、元が取れるという発想が違う

 還暦を過ぎ、同窓で集まると年金の受け取りをどうするか、繰り上げ受給と繰り下げ受給、どちらが得かについて、悩まれて相談される方が多いです。同年代はすでに、65歳前後で繰り上げのタイミングではなく、繰り下げて年金を増やすかどうかのハガキが来てその選択のようです。
 趣旨、制度を確認しますと、
 繰り上げる場合は、受給期間が長くなるため、1ヶ月につき0.5%減額されます。
繰り下げる場合は、受給期間が短くなるため、1ヶ月につき0.7%増額されます。
繰り上げ受給を選ぶと、年6%が減額され、減額された年金額が一生涯続きます。60歳で受給を開始すると、30%もの減額です。
 66歳以降に繰り下げて年金を受け取る場合、繰り下げた方が65歳からもらうよりも年の総受給額70歳からの受給にすれば、65歳からの受給に比べて月額は42%アップする。さらに一昨年から75歳まで繰り下げ可能になり、この場合月額84%アップとなります。
 ただし、その間は年金を貰わないわけですから年額は増えても5年遅らせると取り戻すのに10年以上かかります。損益分岐点とか言われますが81歳、90歳と生きれば計算上はプラスが増えます。

 こんな計算を強いる政府の方も罪です、このためファイナンシャルプランナーや社労士も相談を受けることが多く、両論が動画サイトなどにも挙がっています。両方のメリットデメリット、損益分岐点や税金、減額対策も出ています。どちらが正解?


  年金は自分の老後、長生きした時に働けなくても生活できるお金を貰える保険制度であり、基本的に投資のように損得を考えるべきではありません。結論はこれなのです。ここが理解されず、「どっちがいいの、どっちが得なの?」の疑問が多く、それに対する考察的回答が多いですが、私は正解などないですし、語れません。

 言えることは損得ベースではなく、今お金が必要ならば、繰り上げるか、タイミングを過ぎても65歳以降なら今すぐ貰うかです。在職老齢年金の話はまた別に語りますが、今お金が潤沢に回っていたら、繰り下げてもいいという程度の話です。

 損益分岐点などと言いますが、他の保険で、例えば医療保険で元を取るために病気やケガをするでしょうか!確かに医療費の支払いの足しになりラッキーと思ってもそのために病気を幸運とは思いません。自動車事故を起こし保険で元が取れたと喜ぶこともないでしょう。
 乗り放題パスだとか、食べ放題や飲み放題のバイキングなどで、損益分岐点を超えた時点で大喜びはするでしょうか。実際には元とれなくても、一喜一憂はあまりしません。損得だけでは本質的な旅や食事を楽しめません。元を取るために、無理に食べたり、移動したりして不必要なことをして喜ぶのと同じで、よく考えるとあまり意味はないのです。人生もそうです。

 繰り下げで問題なのは、在職老齢年金制度で、高額で稼いでいる人はその時点で停止や減額されますから、増額にはなりません。さらに税金の壁を超える場合もあり、最初の計算式が全て成り立つとも限りません。在職老齢年金制度も年金にかかる税金も計算は複雑ですし、これから改定になる可能性が濃厚ですので、ますます損得の正解はないのです。まあ自然体でいいのではと思います。

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