公害病訴訟、裁きはドラマだけではない

 刑事ものや法廷もののドラマは人気があり、毎クールいくつか放映され、映画にもなります。今年は特に、朝ドラでも法曹界が注目され、戦前からのさまざまは裁判の話もでました。

 朝ドラでヒロインも務めた趣里さんが弁護士役で主演した「モンスター」という番組も荒唐無稽ではありますが、いくつか法廷劇が取り上げられていました。

 最後のエピソードはラスボス的な存在が、大企業で環境というか公害の訴訟でした。「虎に翼」では、いろいろ戦前からの法曹界のエポックを取り上げていましたが、公害の裁判は取り上げていなかったので、大手企業がスポンサーの民放としてはよくやった切り口です。かつて堺雅人が好演した「リーガルハイ」でも名言を残したほどの有名な環境訴訟のエピソードがありました。
 しかし、水俣病を始め、高度経済成長期からの負の部分をもいえる、公害や薬害の裁判は実際には立証が難しく、相手が巨大企業や国家権力の場合は初動は大変な苦労だったと思います。原発でもそうですが、自然や環境を犠牲にしても工場を誘致しなければいけなかった都会と地方の格差もそこには見えます。

 正義と悪、右と左とはっきり分かるものでもなく、その場の当事者も良かれと思ったこと、科学や経済、医学の発展のために犠牲になってしまう者の哀れがあります。

 今の豊かさや医学の進歩は先人の、あるいはただそこに生まれただけで今も苦しむ死屍累々の上に成り立っているのです。

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