テレビから時代はネットに移行しているとも言われ、オールドメディアへの風当りの強くなり、NHKや民放の存続理由も問われています。
「NHKをぶっ壊す」という政党が国会議員を当選させ、NHKに対してもその体質や偏向報道に対し批判的意見を持っておられる方も多いようです。
偏向した報道姿勢には疑問が多いが、ドラマは見ている人、スポーツ中継はDAZNと違って無料だから見ている人もおられます。しかし、ドラマも映画もNHK受信料より、安く配信で観れる時代です。配信のドラマも良いコンテンツが増え、スポーツだけなら割高とさえ言えます。
テレビ離れの中、朝ドラや大河ドラマ、紅白歌合戦だけは視聴率を落とせないと局側も必死で宣伝もしてお金もかけて作りこんでいます。
いわゆるNHK党の党首で、元NHK職員立花氏の暴露話ではないですが、このところのNHKの放漫な経営、その内容に関してはやはり疑問も多く、偏向報道以前に、公共の受信料を使ってそこまでしていいのかという思いはあります。
今年のドラマでは、源氏物語の作者紫式部の平安時代を取り上げた「光る君へ」や、女性初の弁護士、裁判官をモデルにして、法曹界への女性進出を描いた「虎に翼」も、力が入っていました。社会や政治問題や歴史も含め、潤沢な予算でキャストや衣装、ロケにもお金をかけ、大企業に忖度しなくてもいいため、NHKの報道や受信料を取る姿勢は嫌いでもドラマは好きと言う人もいます。
しかし、報道やスポーツ、ドラマと局をぶつ切りにすることもできないし、やはりつながっているのがNHKなのです。ドラマの中にも、戦争観などNHKがねじ込みたい思想信条はプンプンと臭います。
そして、ドラマ以上に気になるのが、そのドラマを番宣する紅白歌合戦の異様な盛り上げようです。
今年はレビューをするため、NHK+で多少デレイしながらも全部見ましたが、お金の掛け方含め、大変力も入っています。あれだけのメンバーを一夜に集め、序列を決めて時間を振り分け、仕込むだけ大変なものです。実際にホールであれだけの歌手を一同にナマで見れば感激ものでしょう。
今回は特に新旧の朝ドラヒロインを司会にもってきて、番宣とスピンオフドラマも持ってくる凝りようで、歌とは離れたところで、一体的に局全体でドラマと紅白の二枚看板を引き上げようと必死なのが見えます。紅白対抗の歌よりも特別企画枠も増え、通常の持ち歌時間が短いように感じられました。
いい内容でしたし、出た人も準備した人スタッフもよくやっていたと思います。
大物もサプライズ不在とは言われましたが、B’zの初出場はじめ、各年代に対応した大物アーティストも駆り出し、カメオ出演のように大物ゲストが応援などもありました。ただ、それだけにあそこまでお金かけて、どうかなという疑問もあります。
私が子供の頃見出した紅白はまだ、大晦日7時にレコ大があり、9時スタートで2時間45分でした。今、考えると随分短いようです。楽曲も昔の方がフルでも短く、それを短縮すると、テンポも今よりよく、当時としてはそれでも長大な番組で、その年のヒット曲が網羅された歌中心の編成で全体が短くまとまっていました。
公共の電波であるNHKが歌合戦に血眼でいいのかとは昭和の終わりには論議され、昭和の終わり頃にも「紅白を上回る企画があれば、来年からでも紅白をやめたい」(放送総局長)と公言もされていました。しかし、結局は視聴率稼ぎの方向に走っていきます。TBSのレコ大と時間を見事に重ね、最初の年こそ、かぶる時間を懐メロに充てましたが、翌年からは完全にガチ対決でした。
当時、SMAPをはじめ歌謡界を席捲していたジャニーズ事務所が、賞レースを拒否してレコ大には出ないようになり、TBS側は完全に劣勢になり、大晦日を撤退して、前日の12月30日に追いやられます。
それまで、有力なコンテンツで歌謡大賞など、各局にあった賞も、音楽の多様化で立ち消え、紅白だけが生き残りました。それでも格闘技やお笑いなど、民放もトレンドにのった企画で裏を盛り上げ、紅白も徐々に国民的番組、お化け的な視聴率に陰りが出始めます。
NHKの中で特に、何らかの利権を持つ階層の人には特に看板番組の威光が落ちるのは、自らの特権を失う危機でもあるように思えます。受信料を徴収するとき、誰もが知っている看板番組は絶対に必要だと思い込んでいるかのようです。
紅白出場となると、確かにステータスと見られる芸能事務所もあります。しかし、だんだん癒着や忖度がはびこり、レコ大が日本のその年を代表する曲が選ばれなくなって衰退したのと同様、年間セールス上位ランクが紅白にはでなくなり、毎年衣装や曲芸が注目され楽曲は同じという歌手も増え、かつ聞いたこともないグループも入り視聴者は離れていきます。
ライブツアー中や休暇中で、5分だけのためにリハ含め拘束されたくないアーティストも多く、本来の趣旨の歌合戦とは合わなくなっています。それでも人気者の司会者登用や、広い世代をターゲットにしたレジェンド的な企画を打ち込んで視聴率を維持しています。無理に権威を維持しようとし、それも上層部の思惑と重なり、札束を積んでも大物を投入しています。
舞台や、衣装や中継にもお金を湯水のようにかけている姿勢が30年前のアーカイブ映像とは大きな開きになっています。スポンサーの出資枠と局の予算内で作られる民放と、国会で決まった予算、元は受信料なのに際限なく使えるNHKの差もここにあります。しかし、視聴者も馬鹿ではありません。ある世代には、垂涎もののレジェンドも、少し若い世代になれば見向きもされない老人の宴会にように見えます。
世代によっては「感動した」というシーンでも、あのおじいさんおばあさんのような歌手が何を戯れ合っているのかと見られていたのも本当です。
しかも、今は動画サイトなどで昔の歌もMVやライブなどでカンタンに聴ける時代で、高いギャラで年末に引っ張ってきた掠れた声で歌うのを聞かされるよりマシな場合さえあります。そこに投下されたお金は国民が支払った受信料です。よく税金なら「血税を使って」の批判も出そうです。
問題はここに遣われるギャラとかだけではなく、芸能事務所との癒着が問題です。本来スポンサーがなく、忖度のないはずのNHKがジャニーズ問題で、週刊誌や外国の放送局にも後れを取りました。吉本の問題はじめ、最近のさまざまなタレントの不祥事問題でも、全て民放と横並びなのが証拠です。どっぷりと古い体質に漬かっているのです。
政治の報道も、芸能界やスポーツ界との問題も、一度潰れないとどうしようもないのがNHKです。
心配しなくても、NHKなどなくとも、音楽もスポーツも報道も無くならないし、誰もこまりません。安くない公共料金が消えて、生活はが楽になるだけです。