お台場の光と影の30年

 今話題のフジテレビの社屋に比べると、そんなに目立つ高い建物ではないので、周囲に溶け込むと気づかない人も多いでしょうがレインボーブリッジの根元に隣接する直角三角形の独特な形状をしたビルがあります。横浜倉庫芝浦事業所跡地に、1995年に完成した。南側を斜面としたヨコソーレインボータワーというビルです。

 俗に三角ビルというこの建物に、私の勤めていたカネボウは10年弱ですが本社、化粧品本店機能を銀座から(本社は大阪から)ここに移していました。カネボウは債務超過で2004年に再編され、クラシエだけがこのビルに残りました。
 既に借金と粉飾まみれでしたが、居を変えて再建する意図もあったようですが、最後の砦も10年足らずで明け渡し、産業再生機構の元、化粧品メーカーは虎ノ門に移り、その5年後は花王傘下で現在の日本橋へと転々とします。

 バブル崩壊、さらにリーマンショック後失墜するこの30年、転落する多くの日本の名門企業を象徴する移転でした。それを横目に、六本木ヒルズ、お台場、汐留、赤坂と大手テレビ局は我が世の春のように、落ち行く企業の不正を報道してきました。しかし、その報道機関こそ実態は典型的な、使命を忘れ日本を沈めた、旧態依然の権力にしがみつく哀れな姿でした。

 この30年をお台場のビルは、この哀れな国の凋落をどう見てきているのでしょう。

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