
1989年に上梓された当時の話題作が最近、奇跡の復刊。「これからつぶやくひとふしは とても悲しい物語……」
保険会社のコマーシャル・キャンペーン《幸せな家族》のモデルに選ばれた中道家。しかし撮影はなかなか進まず、やがて不気味な唄の歌詞にあわせたかのように、次々と家族が死んでゆく――刊行以来、全国各地の少年少女に衝撃を与えてきた伝説のジュヴナイル・ミステリ長篇です。
ネタバレがそれほど問題になるほど犯人当てが難しいわけではないですが。
念のため、ネタバレ注意
まあ、例の神戸の連続少女殺人事件の時も、影響があったのではという部分はあります。そして語り手が、今でいう叙述トリックを使っているのではと思えるフシもあり、とても少年少女向きとは言えない作品です。クリスティとクイーンの名作のネタバレを重ねたような作品でもあります。
後味は悪いですが、嫌ミスに分類されるほど、個人的には読後の印象は悪くありません。携帯電話やゲーム機こそ出ませんが、小学校の友達含め、あまり時代的に古いなという感じを抱かせないのも時代を超えた優れた作品です。