財務省は解体すべきは本当?

 地上波テレビや新聞ではほとんど報道されませんが、財務省解体を訴えた大規模デモが東京では繰り返されています。忖度なのか全く報じられないのも何だか怖さを感じますが、本当のところはどうなのでしょうか。

 デモや集会というと左翼系のイメージは強くなり、財務省の役人の方も多くは普通にコツコツまじめに国のために働いておられて、解体などと騒がれるのは良しとはしないでしょう。

 ところが最近、「年収の壁」などの抵抗勢力の親玉が財務省というのが、わりと広くクローズアップされてきました。

 財務省出身政治家や、財務大臣、副大臣などを経験すると、「ザイム真理教」とも言われる財政緊縮、増税論に洗脳されているというのが定説になりつつあります。

 先ごろ亡くなったアナリストの森永卓也さんや、元財務官僚で安倍内閣の参与も務めたインフルエンサーの高橋洋一氏など、保守系も含んだ多くの論者が財務省批判をしており、少なくとも一面の真実はありそうです。

 日本が少子高齢化が進んでいることそのものは間違いではないのですが、それを巧みに財政危機と結びつけて、国債発行ではなく増税で財政の健全化を図るというのが、結局国民を苦しめて国の活力を奪っているというのが財務省批判、解体を訴える人たちの趣旨でしょう。
 立憲民主党の野田佳彦でさえ、民主党政権鳩山首相時代に元財務副大臣で、菅直人(当時副総理兼財務大臣)ともに財務省に洗脳されて、「将来の世代の借金を先送りしないように」という美辞麗句で増税路線に舵を切ったままです。

 日本が借金をしている債務国ではなく、お金を世界一外国に貸している債権国です。債務も国債として多くは日本の今(将来ではない)の世代の国民が信頼して持っているわけで、償還費も半分は日銀に支払うので、政府はあまり負担がないのです。日本の国土や国民が無くならない限りこの構造は安全なものです。
 少子高齢、人口減少は、国力が漸減する問題で、重要ではありますが、大きな借金の返済に急に迫られるようなことはないのです。破綻寸前の企業や自治体のような窮状は、将来的にもないのです。

 現在のベストのような財政状況をさらに良く保ち、各省庁に安定した財源を振り分けたい理想のため、財務省の頭の良い方は、森林環境税とか新たな税を巧みに増やしたり、復興特別所得税はしれっと継続し、ガソリンの暫定税率も止めようとはしないのです。

 そもそも消費税を10%に上げた段階で、相当の余裕が生まれ、社会保障費の高騰もまかなえるはずだったのに、物価も社会保険料も上がり、所得から引かれる割合は増える一方です。
 コロナ禍が過ぎ景気も戻ると国の税収は記録的な伸びで、ちょっと減税でもしとうかという物価高には焼石に水のような定額減税をばらまいたのが昨年です。
 本来、内閣府とともに省庁全体のバランスある予算を考えないといけないのが、財務官僚ですが、税収の主導権を握ること、安定財源だけをKPIにして、市民感覚、民間企業の感覚からのずれが大きくなりすぎているのです。

 確かに少子高齢化、人口減少は国のピンチではあり、企業や銀行だったら、大リストラや合併吸収されるべきところです。
 公務員は、庁舎や施設、備品や消耗品はケチ臭く質素なところもあるのですが、大元で一緒にしてしまえば現場、総務経理や人事など統合できる部門がいくらもあります。
 銀行ならとうに支店も営業所もなくなり、ATMや自販機すらリストラされそうな地域にまだ事務を構えるところもあります。
 存在そのものが必要でない過疎地域の出先機関なども沢山あります。
 そして、もっと無駄で金食いなのは、独立行政法人などの天下り用の法人でしょう。
 いくら、天下り禁止といっても生き残る悪習で、巨額の退職金を貰って、悠々と役員で再就職できる人達がいます。
 再就職した役員が2000万だのの報酬です。
 月17万の非正規職員や就職氷河期の浪人、大企業をリストラされた中高年、「年収103万の壁」高騰する物価などの、市民の問題は山積みです。ところがいくら頭が良くても、高等市民の官僚にはこの問題が肌で感じられないと分からないのです。
 東大を出たエリート官僚が結局国民の生活も企業の苦しさも分からないのが、今の日本の宿痾です。

コメントを残す

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.