大規模な立ち退きはもうできない時代か

 名古屋の100メートル道路と言われる久屋大通、若宮大通は有名です。焼け野原になった戦災からの復興で当時の市が強力なリーダーシップで、都市の美化、防災、産業の発展を企図して計画されできたと聞きます。
 写真は京都の堀川五条の交差点です。私が済む京都市内は細い路地や、クルマの行き違いも難しいため碁盤の目の道路の細い道は一方通行が多いですが、時折広い道もあります。堀川通、御池通、五条通などは戦時中に空襲の延焼を防ぐため家屋疎開をさせて拡張したものもあり、戦後まもなく都市計画で区画整理、拡張整備されました。新丸太町通りと言われる丸太町通りの市内西部の部分は、大地主私有の田畑だった土地をもらい受け、東西の道では珍しい幅の広い両側2車線道路です。
 こういった広い道路を作ることのできる土地も最近は住宅が増え、所有者が細分化し、国や自治体も無理強いがしにくくなり再開発は計画しても頓挫したり、時間がかかることが増えました。

 私の近所も狭い、危険な交差点を含む地点、学童の通学路や危険なバス停などのある個所が、拡張の計画が発表されても反対にあい実現しませんでした。

 そのあたりを、最近では例外的にパワハラでも強引に駅前開発をやった当時の明石市長、今テレビにもよく出ている泉房穂はやって乗っけました。市民全体、市の未来を考えての協力なリーダーシップと言えます。

 写真の京都市内の五条通なども戦時中に強制疎開させられ、南側の町家はごく短い変な間取りになっています。私の実家のあった堀川通も近所の方が強制的に移転させられ、西側に移ってきた話を聞きます。

 今はそう簡単に移る土地もないですし、「区画整理」で簡単に立ち退いてく貰う交渉などかなり難しい時代でしょう。そういう面では広い道路、高速も鉄道も作るコストは上がっていますし、シールドトンネルの大深度公報でも、技術的にか可能でも、地下水や陥没、残土なども問題ですし、都市計画も難しい時代です。

人権が重要な時代ではありますが、進めるべき都市計画が頓挫するのは行政の怠慢とも言われても仕方ありません。泉さんではないですが、怒鳴りたくなるのは利便を待っていた納税者たる市民でもあります。

 行政のリーダーシップの必要性は、国土全体の強靭化や防災や交通体系の整備にも顕著です。都市部と地方の格差、限界集落の問題も私はもう少し力強く迅速に進めないと、無駄とは言えないですが効率の悪い税金が長く垂れ流されます。水道管や電線は住民がいればずっと整備し続けないといけないのですが、多くの住民がいる都市部でさえ予算的な限界がきています。

 人権ももちろんですが、かつて日本の国土、その町の拡張のため、涙を呑んで立ち退いた人にとっては、今ウダウダ文句をいって居座れば何も進まない現状はどうなのでしょう。このまま、人は減り税金はどんどん上がり、あちこちで道路が陥没し、日本が沈んでいくのを眺めるだけでしょうか。あるいは小さい交差点でも危険が放置され、事故で亡くなる生命があるのかもしれません。

 AIが進化して、結論は出ていることはあるはずです。人権擁護ではなく、多数の利益のためには、力業で動かさないとどうしようもないほど追い込まれているのです。

 リニアや整備新幹線の問題も、ずっと前から決まったことが、政治家が選挙のため市民の顔色を窺いウダウダと逆戻りして、停滞している内のどんどん着工中でも税金が垂れ流され、便益の時期は遅れ、投資回収は減ります。補償すべき点はかぶるが、国土の改造のため「すぐやる」かもしくは「すぐやめる」かなのです。
 利害のからむ人は賛成か反対かに必ずなるし、専門家でも当事者でもないアナリストが、そんな討論にウダウダ面白がって参戦しても、何の利益も産まないのです。

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